「すぐキレる子」に不足しがちなカルシウムじゃない栄養素「摂らない人は攻撃性が増した」【小児科医が教える】写真はイメージです Photo:PIXTA

子どもの体を作り集中力や思考力を深める働きがある「たんぱく質」。たんぱく質は動物性と植物性があるが、栄養素をバランスよく体に取り入れるためにはセットで摂るのが体に最もよい食べ方だという。また脳の成長を支える働きをする「鉄分」はたんぱく質と一緒に摂取することで鉄の吸収率が高まるのだ。本稿は、伊藤明子監修、若宮寿子レシピ作成・調理『頭のいい子が食べている最強レシピ』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。

「動物性」と「植物性」の
たんぱく質はセットで摂る

「炭水化物」や「脂質」と並び、三大栄養素のひとつである「たんぱく質」は、「炭水化物」や「脂質」同様、体を動かすエネルギー源となるほか、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛といった、あらゆる体を作る材料として使われます。体がどんどん大きくなる成長期の子どもにとって、たんぱく質はなくてはならない栄養素。たんぱく質が不足していては、健康で丈夫に育つことができません。

 大人が1日に必要なたんぱく質の量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、成人男性で60g、成人女性で50gですが、小学生では約30~50g、思春期になると55~65gと、思春期には大人以上のたんぱく質が必要となるのです。この数字は、摂るべき最低ラインなので、実際はそれ以上に摂る必要があると考えられます。

 たんぱく質を多く含む食品は、主に動物性の肉類・魚介類・卵・乳製品と、植物性の豆腐や納豆といった豆類に分けられますが、ひとつ注意しなければいけないのが、食品によって含まれるたんぱく質の量が異なるということ。例えば、肉や魚などの動物性食品に含まれるたんぱく質は約25%なのに対し、豆腐に含まれるたんぱく質は約7%と、約4倍もの差があります。

 ヘルシー思考のご家庭だと、豆腐や納豆などの大豆製品が多く食卓に並ぶことがありますが、植物性のたんぱく質ばかり食べていると、1日に必要なたんぱく質の量が足りなくなってしまいます。

 とはいえ、肉や魚ばかり食べていればよいというわけではありません。それぞれの食品に含まれるたんぱく質以外の栄養素にも注目する必要があります。例えば、肉類には、代謝に必要な「ビタミンB群」が豊富なものが多く、魚類には脳の機能維持に必要不可欠な「DHA・EPA」が豊富に含まれます。

 さらに、豆腐や納豆などの植物性たんぱく質は、「カルシウム」や「食物繊維」が豊富。こうした栄養素をバランスよく体に取り入れるためにも、動物性と植物性のたんぱく質はセットで摂るのが、体に最もよい食べ方です。

たんぱく質を摂取しないと
攻撃性が増してしまう?

 たんぱく質には、体を動かすエネルギー源と、体を作る材料となるという2つの大きな働きがありますが、近年の研究で、脳とも関連があることがわかってきました。例えば、1995年には、「たんぱく質を摂った人とたんぱく質を摂らなかった人を比較すると、たんぱく質を摂らなかった人は攻撃性が増した」という研究結果が発表されています。