
4月2日のトランプ大統領の相互関税発表で主要国の株価は急落した。5日には一律10%の関税が課され、9日には上乗せ分の相互関税が実施された。主要国の経済はどうなるのか、検証した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
報復関税を打ち出した
中国には100%超えの関税
世界の株式市場がトランプ米大統領の一挙手一投足に振り回されている。
4月2日、トランプ米大統領が一律10%と国ごとの相互関税の発動を発表して以降、世界的な景気悪化を嫌気して主要国の株価は急落した。
ニューヨークダウの2日の終値から8日までの下落率は10.8%、日経平均株価の2日の終値から9日の終値までの下落率は11.2%。他の主要国の株価も1割前後下落している。
米国では大幅な関税引き上げによる輸入価格上昇による物価上昇、企業収益の悪化、インフレによる消費減速が懸念されている。不況下の物価高、スタグフレーションの公算が大きくなっている。
米国以外の国は、関税賦課による米国への輸出減少が見込まれる。米国に対する報復関税に動く国もあり、世界的な貿易縮小は進む。世界経済が減速することで、どの国も景気への下押し圧力を受ける。
2日に発表された相互関税の税率は中国34%(これまでの関税と合わせて54%)、台湾32%、日本24%、EU(欧州連合)20%。5日に一律10%の関税が発動され、9日に相互関税が実施された。
トランプ大統領は株価急落を目の当たりにしても「金持ちになれる機会だ」「今は耐えるとき」と発言し、関税に対する姿勢を変える様子などみじんも見せない。
それどころか、中国が米国に対し34%の報復関税を実施すると発表すると、米国は50%の追加関税を課すと応酬した。対中国の関税率は合計で104%となる。
この高関税は主要国の経済、金融政策にどのような影響を及ぼすのか。次ページでは、主要国への影響を検証する。