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吉田恒のデータが語る為替の法則

米追加緩和・ドル安容認論の本当の狙いは
新興国通貨切り上げか? 人民元がカギに

吉田 恒
【第102回】 2010年10月20日
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 私が「行き過ぎ」と指摘する中でも、米国の金利低下と米ドルの下落がなかなか終わりません。

 それでは、この「行き過ぎ」となっている米国の金利低下と米ドルの下落はいつ終わるのでしょうか?

 長くても、米国の中間選挙やG20(20ヵ国・地域首脳会合)までで、それよりも早く終わるならば、人民元の動きがカギになるのではないでしょうか?

株高の状況下でも大幅金融緩和&通貨安戦争!?

 今回の米国の金利低下と米ドルの下落は、11月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)での追加緩和期待を受けたものとされています。

 この追加緩和が相場に織り込まれながら、米国株は堅調に推移し、年初来の最高値圏まで上昇してきました。 

 利下げ期待で株高になる動きを「金融相場」といいますが、それにしても、株価が年初来高値圏まで上昇する中で、あえて大幅な金融緩和を行う必要はあるのでしょうか?

 これは、米ドル安についても同じようなことが言えると思います。

 最近の米ドル安は、米国が景気回復策として容認しているためであり、一種の「通貨安戦争」になっているといった指摘も少なくありません。

大恐慌時と現在の「通貨安戦争」の大きな違いは?

 ところで、その「通貨安戦争」ですが、これは1930年代の大恐慌で取りざたされたものです。

 1929年からの世界的な株価暴落が続く中で、1931年から当時の名目的な基軸通貨だった英ポンドが切り下げられ、これをきっかけに「通貨切り下げ合戦」が展開されたのです。

 

 ただ、1930年代と現在の「通貨安戦争」の大きな違いは株価の方向性です。

 前述のように、1930年代の「通貨安戦争」は世界的な株価暴落局面で起こったものでしたが、これに対して足元で株価は堅調に推移しています。

 1930年代の場合は、大恐慌の中で株価が暴落し、生き残りのために国際協調を考える余裕などとても持てなかったのだと思います。

 しかし、最近のように株価が堅調な中では、国際協調を無視して「通貨安戦争」を仕掛けるということではないと思います。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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