もしかしたら、今年の夏を起点にして、携帯電話の新商品発表会のスタイルが変わるかもしれない。
なぜなら、いくつかの“勝負端末”を軸にして、残りは既存の端末に少し手を加えて仕立て直した新端末を足して全体の数を増やすことでインパクトを狙う、というパターンに限界が見えてきたからだ。順を追って、今年の夏商戦を振り返ってみよう。
5月19日午前中。トップバッターとなったのは、ソフトバンクだった。発表会では、テレビCMでお馴染みの「白戸家」の芸能人を勢ぞろいさせて、孫正義社長が「今年の夏モデルは、過去最高の19機種61色を用意しました」とアピールした。
目玉となった新端末は、「1000万画素の高画質デジタルカメラを搭載した携帯」、「電話を折りたたんだ状態でも使える女性向けの携帯(表面に大型の液晶サブディスプレイを装備)」、「太陽の光で充電できるソーラー携帯」の3機種だった。
同じく19日午後。NTTドコモは、18機種59色だった。最大の目玉は、日本初となる「アンドロイド携帯(米グーグルのOSを搭載)」や、「約4.1インチの大画面タッチパネル携帯(米マイクロソフトのOSを搭載)」など2つのスマートフォン(多機能携帯電話)。もとより、若者向けから高齢者向けまで、幅広く取り揃えているドコモの山田隆持社長は「使う人のさまざまニーズに応えられるだけの商品が出揃った」と胸を張った。
そして、25日午後。業界では最後の発表となったKDDIは、独自性を前面に打ち出した8機種に減らして、 “サービス特化型の用途別携帯”を訴求する作戦に出た。
目玉は、「約5000冊の電子書籍を記憶できるブック携帯」、「健康計測器としても使える防水スポーツ携帯」、「ハイビジョン画質で動画を撮影できるムービー携帯」、「太陽の光で充電ができるソーラー携帯」など、どれも毛色が違う4機種だった。
KDDIの小野寺正社長兼会長は、新しい生活スタイルを提案する「auらしさ」の復活を強調した。そして、各端末の新機能を説明した高橋誠取締役執行役員常務は、「発表の日時が前後したが、名実ともに日本で最初に“ソーラー携帯”をお届けするのはauだ」と力を込めた。