若返ったインテル
開発者会議の目玉はVR
インテルは、さる8月16日から18日まで、サンフランシスコで年次開発者会議の「IDF 16」(インテル・デベロッパーズ・フォーラム)を開催した。その皮切りとなった同社のブライアン・クルザニッチCEOの基調講演は、インテルのイメージをずいぶん若返らせるようなものだった。
その意味で目立ったのは、VRである。
インテルが発表したのは、自社で開発したVRのヘッドマウントディスプレイ「プロジェクト・アロイ」。実際にデモで利用されたのはリファレンス(参照)デザインで、これを元に他社OEMに独自の製品を開発してもらうプラットフォームを提供するアプローチである。だが、これまで発表されてきた他VRにない技術も盛り込まれている。
ポケモンGOとは逆の世界
まず、インテルは「VR」(バーチャル・リアリティ)ではなく、「MR」(マージド・リアリティ)という表現を用いている。マージド(merged)とは「混ざった」という意味。つまり、リアルとバーチャルが混じっているということだ。
実際、プロジェクト・アロイを身につけたユーザーに見えるのは、バーチャルな世界の中に、目の前に立っている人だったり、目の先にかざした紙幣だったりする。ちょうど話題の「ポケモンGO」では、現実世界のイメージの中にバーチャルなキャラクターが浮かんでいたりするのだが、プロジェクト・アロイで見えるのは、ちょうどその逆の感じだろうか。全体がバーチャルで、そこに現実世界のモノが乱入したり混在したりしているのだ。
デモで面白かったのは、バーチャル世界のモノと現実世界のモノが交錯するという設定。デモでは、バーチャル世界の金塊を現実世界の紙幣で切り込むという動作を実現した。単にイメージとして混じっているだけではなく、アクションでも現実がバーチャル世界に介入するというものだ。
今のところは、現実世界の画像の解像度にまだ完璧と言えないところがあったものの、こうした設定が可能ならば、ゲームであれムービーであれ、これまでにない突飛なシナリオが描けそうだ。