米ロサンゼルスで、6月14~16日の日程で開催された世界最大級のゲーム見本市「E3」では、仮想現実(バーチャルリアリティ、VR)ゲームが注目を集めた一方で、ソニーとマイクロソフトが新型ゲーム機の開発に入ったことが明らかになった。家庭用ゲーム機は高性能化が加速し、各社は新しい競争のステージに入ろうとしている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 村井令二)
コードネーム「NEO(ネオ)」──。ソニーが、据え置き型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の高機能版の開発に入っている。
NEOは、映像の解像度やフレームレート(1秒間に使われる静止画のコマ数)を高めてグラフィック処理性能を向上させ、4Kテレビなど最先端映像に対応する機能を盛り込むという。発売時期はまだ決まっていないが、PS4のハイエンド版という位置付けで、現行のPS4と並行して販売する計画だ。
PSの変遷を振り返ると、初代PSの発売が1994年で、第2世代のPS2は2000年、PS3が06年、PS4は14年の発売と、ゲーム機の世代交代は6~7年かかるというのがこれまでのパターンだった。
だが、PS4は発売から2年もたっていない。このタイミングで早くも新型機に言及するのは、米アップルのiPhoneや韓国サムスン電子のギャラクシーをはじめとするスマートフォンが毎年のようにモデルチェンジを繰り返して最新技術を導入しているのに対し、高機能が売りのゲーム専用機が技術開発で後れを取ることへの危機感が背景にある。
米ロサンゼルス市内で取材に応じたソニーのゲーム子会社、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のアンドリュー・ハウス社長は、「スマホやパソコン(PC)の買い替えと技術の進化は1年半から2年。このスピード感にユーザーが慣れている中で、ゲーム機も対応を考えなくてはならない」と新型機の開発に入った理由を説明した。
米マイクロソフトも13日にE3会場近くで開催したプレスカンファレンスで、現行の「Xbox One」の後継機を開発する「プロジェクト・スコーピオ」を発表した。4K映像やVRに対応する機器で、「史上最強のゲーム機」(ゲーム事業責任者のフィル・スペンサー氏)として最高性能を追求する方針だという。