結婚に愛情は不要。夫=企業と見立てて、優良企業(夫)への入社(結婚)に余念がない「プロ妻」が増えている。中には転職(離婚と再婚)も視野に入れて、退職金(慰謝料)がもらえるようにがんばるという猛者も。プロ妻たちの世界観を取材した。
専業主婦は夫育成ビジネス!
「結婚相手決定に恋愛感情は不要」
「早く結婚を決めて、寿退社して、家庭におさまりたいです」――。
平成の時代にあって、「寿退社」という昭和の香りがする言葉を使って結婚願望を露わにするのは、大阪府内の地場金融機関に勤めるミサキさん(24)だ。そんな彼女にとって、今の勤務先はあくまでも「腰掛け」に過ぎないという。
「専業主婦とは究極のマネージメント業だと私は考えます。ひとりの男性を企業と見立ててその可能性を引き出し、育て、伸ばしていく。そう考えると、専業主婦はとても大きな可能性を秘めたビジネスではないでしょうか?」
茶色のワンピースに、今年流行のカーキグリーンのサマーカーディガンを羽織るミサキさんは、結婚を夢見る女性というよりも、「やり手の若手女社長」といった雰囲気だ。今は仕事の傍ら、大阪市内の結婚相談所に登録し、専業主婦となるべく“婚活”に励んでいる。
「登録して半年です。最初の2ヵ月間は毎週、土日に1人ずつ会っていました。でも、さすがにスケジュール的にもきつくて。今は毎週金曜日の夜に1人会っています。これまでに50人くらい会いました。今、ひとりお付き合いしようと思っている方がいます」
大学では音楽系の部活で活躍し、所属ゼミではゼミ長として頑張っていたという活発なミサキさんなら、なにも相談所に登録しなくても結婚相手に恵まれるのではないか。そんな疑問をぶつけると、彼女は冷静な口調でこう語った。
「恋愛はたくさんしてきました。でも、彼らを“企業”として考えると難ありでした。預貯金が少ない、もしくはない。勤務先の企業規模や安定性、家族構成などなどを査定すると、とても優良“企業”に育つだけの基本的要素がありません。恋愛は結婚のきっかけにはなりますが、愛だけで結婚生活が維持できるとは、到底思えません。なので結婚はまず条件面から入ろうと。恋愛は結婚した相手と、結婚後にすればいいわけですから」