「ある日突然、実家のお父さんが倒れたら、あなたはどうしますか?」
もし、あなたが50歳以上、父親が80歳以上なら、万が一の場合、どうするのか……気持ちや生活、そしてお金の準備をすでに整えているのは当然でしょうが、一方で父親はまだ50代で、あなたは30代。しかも実家暮らしで独身。今まで何の危機感も持たず、一切の準備をせず、何となく日々を過ごしているとしたら……何の前触れもなくエックスデー(父親の急病)に遭遇し、30代息子の人生は急転直下するのです。「ぬるま湯の天国」から「極熱の地獄」へと。
父に代わって一家を支える
離婚経験者に起こること
大黒柱である父親が安定した収入を得て、住宅ローンを返済し、生活費を入れてきたからこそ誰も衣食住のことを心配する必要はなかったのですが、父親の代わりにあなたが一家を支えなければならなくなったらどうなるでしょうか。住宅ローンを返済したり、生活費を負担したり、母親の面倒を見たりすることになり、給料の大半は消えてなくなり、手元にはほとんど残らず、スッカラカンになるでしょう。
このように実家暮らしの独身者という恵まれた立場でも、父親の急病によって経済的に厳しい状況に追い込まれます。独身は独身でも「離婚経験者」なら、なおさら大変。例えば、元妻の生活費、子どもの養育費、そして慰謝料を毎月、支払わなければならないとしたら……。
会社員の場合、どうしても手持ちの予算は限られています。そのなかから元妻への支払い、実家の食費や水道光熱費、そして自分の生活費を振り分けなければならないのだから、どう考えても現状維持は不可能。このままでは赤字を垂れ流し、借金まみれになり、路頭に迷うことになりかねません。
今回は前夫の目線に絞って話を進めていきましょう。父親の急病によって養育費や慰謝料を満額支払うのはどう考えても無理……そんなふうに困り果てているとき、元妻とどのような話をすれば良いのでしょうか?私のところに来た相談者の実例をもとに解説してきましょう。
◆今回の離婚のトラブル/離婚後出戻りした男性の父が危篤に。突然一家の大黒柱になることになった男性は元妻へ月13万円の慰謝料・養育費の減額を申し出るが……。
<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>
夫:上本直樹(32歳)→会社員(年収500万円)☆今回の相談者
父:上本茂(57歳)→会社員(年収800万円)
母:上本美智子(56歳)→パートタイマー(年収60万円)
元妻:本多成美(31歳)→専業主婦
元妻との子:本多くらら(6歳)→直樹と成美の長女
・夫婦の状況とトラブルの経緯
離婚後出戻りした男性の父が危篤に。突然、実家の大黒柱になることになった男性は元妻へ月13万円の慰謝料・養育費の減額を申し出る。元妻は義父の心配どころか「ダメならあきらめればいいじゃない」と減額に応じない構えを見せた。