かつて3万円以上が当たり前だったメガネが、この数年で「1万円以下で買えるもの」になった。そうした『低価格メガネ市場』をつくった代表的な企業の1つがZoffブランドを展開するゾフだ。
同社は、2001年に中国でメガネフレームの製造をはじめ、製造から小売りまでの一連の流れを手掛けるSPAによって、1万円以下の「3プライス」で低価格メガネ販売を実現。現在国内では90店舗以上を運営している。そして今年、ついに上海でのメガネ販売を開始した。
日本のメガネ市場では確固たる地位を築いてきた同社だが、中国でも市場を席巻できるのか。これまでの中国進出での苦悩と今後の展望について、ゾフの上野剛史社長と上海の現地法人である「佐芙(上海)商貿有限公司」商品部・三上智将氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子、撮影/住友一俊)
ライセンスビジネスからメガネの小売りへ
手探り状態で中国工場を選定、生産に
――2001年からメガネ市場に参入し、中国での製造を開始された御社だが、そのきっかけを教えていただきたい。
上野 もともと我々は、ファッションブランドのライセンスビジネスを行っており、そのライセンシーのなかにメガネフレームメーカーがありました。同社と仕事をしていくなかで、現在日本で売られている商品の多くが中国製であり、生産拠点は日本から中国に移っていることを知ります。
そこで自分たちも中国に実際に行き、直接工場とやり取りをして、商品を仕入れて販売しはじめました。それが01年2月で、10年前の今頃はちょうど発注をかけていた頃でしたね。
――当初はそれほど現地の事情に精通されていなかったと思われるが、中国での工場探しをどのようにして行ったのか。
上野 当初は手探り状態でした。日本や香港、上海、北京などアジアでの展示会、あるいはイタリアのミラノとフランス、香港で開催されるメガネ三大展示会の出展メーカーを辿り、紹介を受けて現地の視察に行き、生産体制を見せてもらいました。そこで日本と中国の工場の違い、品質、技術、工程の違いなどを見極めたうえで、サンプル出しをお願いし、発注を始めました。