煙の中で回るミラーボールにレーザー光線。かすかに聞き覚えはあるけれど、誰の曲なのかまるでわからない油っこい音。一歩踏み外せば盆踊りになりそうなステップだけど、ノリノリで踊るスーツにネクタイ姿の男性。肌にぴったりくっついてスリットだらけのワンピースの女性(これがあのボディコン?)。

 曲が変わるとみんなの振りも一斉に変わる――これがかつてのバブルの熱気なのか!?

 バブル期に伝説のディスコと呼ばれた「マハラジャ」が、11月2日に再オープンを果たした。これで何度目だろうか? 好奇心に胸を躍らせながら、オープン直後のフライデー・ナイトに潜入してみた。

 場所は六本木プラザビルの5階。20時を過ぎる頃には客席は満席に。「オープン当日は入場制限しなければならないくらい、たくさんの人に来ていただきました。今夜もきっと盛り上がりますよ」と入り口の新人黒服君も嬉しそうだ。

 全盛期に北は札幌から南は沖縄、東はハワイまで60店以上を展開したマハラジャ・グループ。その旗艦店が東京・麻布十番にオープンしたのは、1984年。その頃はまだ幼稚園児だった筆者には、「バブル」と呼ばれた華やかな時代の記憶はない。今回、マハラジャ再オープンのニュースを知り、「何としてもバブルの雰囲気を味わってみたい!」と思い、取材を決行した。

 フロアを眺めてみると、自分と同じような興味を持ったのか、今どきの若者の姿も少なくない。5人組の女性に話を聞いてみる。

「友達の彼がバーテンダーとして働いているので、招待で来てみました。普段行くクラブと違って、内装がゴージャスですね。曲も悪くないし、楽しいです」

 一方、隅のテーブルで行儀よくお酒を飲む4人組の20代男性は、ちょっぴり引き気味。「友達に誘われてきました。真ん中で踊るのは、ちょっとハードル高いですね……」

 フロアの様子を熱心に観察している、40代の男性2人組にも話を聞く。「昔よく通ったんだよ。再オープンを知って早速来てみた。昔と比べると、ハコが小さくなっちゃったね。でも、照明やブースには当事の雰囲気が出ているよ」と目を細めてタバコをふかす。

 内装は、黒とゴールドで統一されている。オブジェとして飾られている黄金の象などは、当時実際に使用されていたものとのこと。「当時のマハラジャをできる限り再現したい」というオーナーの意思を感じる。

 ドリンクはセルフサービスではなく、スタッフがオーダーをとってくれ、1人で訪れた際は話し相手にもなってくれる。これもクラブとディスコとの違いの1つなのだそう。料金は男性が平均3500円、女性が平均2500円、金・土・日は500円プラスになる。服装に関しては、男性のハーフパンツ、サンダル、穴あきジーパン、ジャージなどは入店をお断りする場合があるとのこと。

 DJブースの両側には「お立ち台」が2つ。初めて見るお立ち台は、思ったよりも小さい。ボディコンを着てここで踊るのは、相当勇気が要る。でもハデにやってしまえば、確実に自分の殻が一枚剥がれそうだ。

 ことあるごとに「あの時代は楽しかった」と語る先輩も、今の姿からは想像もできないが、当時は踊りまくっていたと言うし……。チカラいっぱい遊んでみたい夜に「伝説のマハラジャ」はいかが?

(藤井美和)