丸善とジュンク堂は、ビジネスパーソンや各界の専門家を主な利用者とする大手書店グループです。その購買データを分析すれば、ビジネスパーソンにとって「いま注目の本」が見つかるのではないか、というこの連載。今回は、8月の「経済・金融」分野に絞り、売れ筋のランキングとトレンドを読み解いてみました。
「経済・金融」分野において、8月は新刊が5冊ランクインしています。また、先月2~4位だった3冊が順当にランクアップしたのも特徴。今回は1位の『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』、そして新刊で最もランキングが高かった『人工知能が金融を支配する日』の2冊に注目しました。
丸善・ジュンク堂「経済・金融」書籍 2016年8月ランキング
元新聞記者の作家が描くノンフィクションが1位に!
作者/清武英利 出版社/講談社 出版日/2016年07月13日
先月の3位から順位を上げ、今月堂々の1位に輝いた『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』。この本は、週刊現代において2014年に連載された「国税は見ていた 第1部」をもとに、新たな取材を加えて再編集したものです。
著者はノンフィクション作家の清武英利氏。立命館大学経済学部卒業後、75年に読売新聞に入社し、新聞記者として警視庁・国税庁などを担当していた人物です。その後、中部支社の社会部長、東京本社の編集委員を経て、編集局運動部長に就任。一方その後、読売巨人軍の編成本部長に抜擢され、オーナー代行という立場まで任されます。記者として、またそれをまとめる編集委員として、現場に深く関わってきた経験から描かれる本はどれも濃密なもの。その内容は高く評価されており、2014年には、記者時代から追いかけ続けた山一證券をテーマとした『しんがり ― 山一證券 最後の12人』で講談社ノンフィクション賞を受賞しています。