液晶技術の進化と次世代パネル・有機ELへの対応とのはざまで揺れるジャパンディスプレイ  Photo by Masaki Nakamura

「日の丸連合をつくって、韓国・中国勢に対抗していくべきだ」

 8月末。シャープの戴正呉(たい・せいご)社長から、次世代パネルの有機ELの開発で連携を呼び掛けられた、中小型液晶最大手のジャパンディスプレイ(JDI)。

 その日、呼び掛けを報道で知ったというJDIの首脳は「今さらこんなこと言っているみたいですね、と記事を見て社内で笑ってましたよ」と余裕の表情だった。

 一笑に付したのは、事前の根回しすらなく、突如として連携を呼び掛けてきたからというだけではない。

 シャープは台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ったものの、有機ELパネルの開発に向けた資金面でなお不安を残しており、開発に不可欠な製造装置の手配も、計画よりかなり遅れそうだという情報が業界を駆け巡っていたからだ。

 JDIにとってみれば、将来を見据えた大同団結というよりは、尻に火が付いた競合相手が、必死に痩せ我慢をした顔で、助けを求めているようにしか見えなかったわけだ。