データ利用の許諾を得て、匿名性を守り、データがもたらす価値に見合った見返りを返すことを、正しいプロセスに則って行えば、たいていのトラブルは未然に回避することが可能です。それにも関わらず「炎上」事件が多発するのは、こうした真っ当な手順を踏んでいないからに違いありません。

 これまで国内で起こったデータビジネスに関わる炎上事件を見る限り、主役であるべきユーザーへの配慮より、データを活用する企業側の利益やメリットばかりが目立つものでした。

 そのすべてがユーザーの利益を無視したものではなかったでしょうが、実情はどうあれ、ユーザーがないがしろにされていると受け止めたら、その時点で、たとえ多くの人にメリットをもたらす可能性があるビジネスであったとしても、実現することは難しくなってしまいます。

 準備不足や不用意な情報発信、粗雑なデータの扱いによって、世界をより良い方向に変える芽が摘まれてしまうとすれば、社会的損失というほかありません。

データを活用し世界を
より良い方向に導くために

 正しいデータの活用のあり方を広めるためには、ビジネス事例を増やすだけでなく、啓蒙や教育も重要な役割を果たします。

 筆者は、本業の傍ら2014年からある取り組みに関わりはじめました。その取り組みとは、学生を対象としたデータを活用したアイデアコンテストを広く支援していくことです。ビジネスの常識にとらわれていない学生時代から、データの正しい扱い方や活用法に触れておくことは重要だと考えたのです。

 その一つが、慶應義塾大学SFC研究所データビジネス創造・ラボが行う「データビジネス創造コンテスト(通称DIG)」です。第5回を迎える今回は、地方創生・地域活性化をメインテーマに、訪日外国人が少ない地域へ、どのように誘客できるか競う誘客部門と、訪日外国人さらなる消費を促すための施策を競う消費活性化部門のふたつで競い合うことになりました。