今年6月に韓国産の“第3のビール”のプライベートブランド(PB)商品「トップバリュ バーリアル」を発売したイオンが、今度は本物のビールのPB商品投入を検討していることがわかった。早ければ、来年6月にも商品化する見通しだ。
イオンにとって、粗利益率の大きいPB事業は収益力向上のカギを握る。イオンのPB「トップバリュ」は、現在4500品目あり2009年度の売上高は4424億円、12年度までに7500億円を目指している。
なかでも、ビール類のPB商品化に注力しているが、それはビールや洗剤はNB(メーカー商品)神話が強く、PBが成功しにくいといわれているからだ。ビールで成功し、PB事業拡大の推進力としたい考えだ。
第3のビールのバーリアルは好調。11月7日までに5162万本を販売し、初年度目標を7200万本から1億本に引き上げた。イオン店頭に並ぶ第3のビールの中で最も売れる商品に育っている。
好調の要因は、PB特有の安さにある。通常スーパー店頭で販売する第3のビールは350ミリリットル缶1本100~120円なのに対してバーリアルは88円だ。イオンでは、ビール類全体の売上高が9.6%増(6月23日~11月7日、前年同期比)。さらに、利益は22%増と大きく貢献している。うまみは大きく、第3のビールに続いて本物のビールのPB化にも熱が入るというわけだ。
ただ、卸の横やりなどがあり、生産を委託するメーカーと、まだ正式契約に至っていない。目論見どおり、すんなりとはいかないようである。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)