次に就業1時間当たりの労働生産性を見ると日本は41.3ドルでやはり21位、これに対してドイツは63.4ドル、フランスは65.1ドルであった。日本の労働生産性はドイツやフランスの6~7割程度しかないのが実情である。

 ではどうすれば労働生産性を向上させることができるのだろうか。僕は「『メシ、風呂、寝る』から『人・本・旅』へ」と言い続けているが、これからのわが国経済を担うのは製造業ではなくサービス産業である。サービス産業の競争力は長時間労働によって得られるものではなく、斬新な発想やアイデアこそが生命線である。

 そのためには、残業をなくして早く退社し、たくさんの人に会い、たくさん本を読み、たくさんの場所に出かけて経験を積み(旅)、脳に刺激を与え続けなければならない。加えて、サービス産業の需要(消費者)は女性が主である(レストランやデパートを想起すれば直ちに了解されよう)。そうであれば供給サイドにも女性をもっともっと登用する必要がある。

 男性が「メシ、風呂、寝る」の生活を続けていれば、家事や育児、介護は主として女性の肩にかかってくるから、女性が仕事で輝けるはずがない。「メシ、風呂、寝る」の働き方の改革こそが、女性が輝く社会の前提条件となるのだ。言い方を変えれば、働き方の改革なくして女性が輝く社会の実現など単なる絵空事にすぎないのだ。

 なお、働き方の改革が少子化対策にも有効であることは様々な研究データが明らかにしているが、ここでは触れないことにする。もちろん、専業主婦を奨励するようなインセンティブについては、将来的には全廃する方向で検討すべきであることもまた言を俟たない。

残業をなくす方法はあるか

 残業をなくして生産性を向上させるためには、政府が原則残業を禁止とする法制を整備することが一番実効性が高いと考えるが、民間でもできることはたくさんあると思料する。

 第1は、長時間労働を評価する根拠なき精神論を一掃することである。出版社に2人の編集者がいる。1人は朝早く出社し夜遅くまでまじめに働いているが、出す本は全く売れない。もう1人は朝も遅く、日中はしょっちゅう喫茶店に行っており、夜は毎晩飲み屋でたむろしているが、年にベストセラーを何冊も出す。どちらを評価すべきか。説明の要はないだろう(工場なら、前者が評価されるのもまた同時に了解されるだろう)。