経沢 でも、実際は育児ストレスを抱えているお母様は多いようで、実は、弊社のサービス、ご主人のほうが奥様に薦めてくださることが結構あるんです。時には「ノイローゼ」になる方もいらっしゃるほどストレスがかかる過酷な面があります。奥様に心穏やかに育児をしてほしいという気持ちで、ご主人が登録される場面も増えてきました。

松田 子育てしやすい社会を作るには、男性の育児への理解、参画が必要ですが、ベビーシッターを日本に広げていく上で、男性の意識の変化がポイントになりそうですね。

大手がやらないからこそ
自分たちに「勝機」がある

経沢香保子氏はベビーシッター事業のどこに勝機を見出したかまつだ・こうた
タリーズコーヒージャパン創業者。1968年生まれ。5歳から17歳までの大半を海外で過ごす。90年筑波大学卒業後、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。96年に退職後、97年にタリーズコーヒージャパンを創業。300店舗のチェーン店に育て上げ、2001年株式上場を果たす(04年MBOにより非上場化)。07年タリーズコーヒージャパン社長を退任後も数々の飲食事業を手掛け、2010年に創業したエッグスンシングスは「パンケーキブーム」の火付け役となった。同年、参議院議員選挙で初当選(東京選挙区)。16年の議員任期満了後は、エッグスンシングスの海外展開や自然エネルギーの事業を手掛ける。

松田 スペシャルティコーヒーの市場を広げた経験から言うと、私がタリーズを始める直前にスターバックスが日本でオープンし、強烈な競合がいました。新しい市場が盛り上がるには、2社、3社とプレイヤーが出てくることもポイントだと思うのですが、ベビーシッターはどうなんでしょうか。

経沢 既存の派遣型ベビーシッター会社はそれこそ沢山ありますが、インターネットを使った弊社のようなプレイヤーはまだまだ少ないです。結構、投資先行型のビジネスなのでお金もかかる上、命を預かるサービスなので、きめ細やかにやらないといけませんので、ローンチからかなり気合を入れる必要があります(笑)。でも、なかなかすぐには儲かりません。安全性が第一なので売上だけを急いでもいけません。あと、特徴的なのはC to C(個人間取引)的なサービスなので、シッターの採用や教育と、お客様の両方に対してきめ細かいマーケティングをコツコツやらないとなりません。

松田 C to Cは細かい作業が大変だから、大手は嫌がる。だからこそベンチャーの目の付け所で勝機がありますね。

経沢 そうですね。かなり忍耐が必要で、収益度外視で、高い志がないと、やりきれないと思います。あとベビーシッターは命を預かる仕事。大手は敬遠すると思いました。起業するとき思ったのは、大手があまりやりたがらず、どちらかというと政府に近い領域で社会問題に取り組んでみたいと考えていたんです。もちろん、今後はわかりませんが、なかなか儲かりそうもなく、時間のかかるビジネス、だから誰もやりたがらないだろう、でも、社会に必要というのは誰よりも強く自分が実感してきた。だったら私がやろうと思いました。