他の追随を許さない
圧倒的な強みだった
効率性に異変あり

 ところが、実は三井住友FGにとって最大の強みの一つである(3)効率性で異変が起きていた。時系列で経費率の変動を見ると急上昇、つまり急激に悪化していることが分かる(図(3))。かつては54%前後と、他の追随を許さない効率性を誇っていたが、この2年で60%弱に上がり、今や2位のみずほFGが背後に迫る状況に陥っている。

 主な理由は、銀行の海外ビジネスや証券・カード事業の強化を狙った経費投入の拡大だ。現段階では、経費の膨張を収益の伸びで賄い切れていない。

 これは経費率で最下位の三菱UFJFGも同じ構図で、特に海外ビジネス拡大に伴う経費の増大は悩みの種だ。グローバルと各国独自とで二重に掛かる金融規制への対応コストは膨大。現地人材の人件費も膨れ上がる。そのため、経費増大に見合った収益拡大が実現できるのか、「半信半疑の部分もある」(メガバンク関係者)という声も聞かれるほどだ。

 また、前期決算であらためて浮き彫りになった三井住友FGの課題が、金融グループの総合力強化だ。3メガバンクの銀行、信託、証券、その他(カードや消費者金融など)という4事業の収益力比較が、それを物語る(図(4))。

 4事業の経常損益を取り、3メガバンクの平均値を100として各社の収益力を指数化すると、三井住友FGの信託事業の弱さが目立つ。本格的な信託銀行を持たないという点は積年の課題だ。

 加えて、前期は証券事業の弱さも足を引っ張り、ここでもみずほFGに収益を逆転された。当期純損益の順位逆転では喜ばなかったみずほFGの佐藤社長だが、証券事業は別だった。三井住友FG傘下のSMBC日興証券と、みずほFG傘下のみずほ証券の収益力を比較し、「みずほの方が圧倒的に収益を上げている」と自画自賛した。

 そして、三井住友FGは今、これらの課題を抱えながら、ガバナンス体制刷新のためのグループ再編という大仕事にも直面している。

 今までは、規模でも収益力でもグループの約8割を占める三井住友銀行が中心だった。しかし、金融庁が主導する企業統治改革や銀行業界の国際基準に合わせるため、持ち株会社である三井住友FGを中心とした経営体制への移行を進めている。そこで細心の注意を払っているのが、それによって「意思決定の遅れやグループ各社の強みを消さないように」(三井住友FG関係者)という点だ。

 その成否によっては、前期決算の順位逆転が「一過性」では済まなくなる可能性もある。ガバナンス改革を実行しながら、効率性改善とグループ総合力強化という課題の解決を両立できるか。三井住友FGの真価が問われる正念場だ。