ホストクラブのみならず、男性による女性へのサービス提供市場が少しづつ拡大している。デートプロデュースの技を磨き上げた「レンタル彼氏」や、年の功による傾聴に強みを発揮する「おっさんレンタル」といった、多様化するサービスをご紹介する。

「ただ話を聞いて欲しかった…」
ホストにハマった女性の告白

 ホストクラブ、レンタル彼氏、おっさんレンタル――いずれも今、女性たちの間で静かに人気だという「男性による女性へのサービス業」だ。人類の長い歴史の中で「女性による男性へのサービス業」は山ほどある。しかし働く女性の増加や意識改革が進めば当然ながら、「お金を払って男性からサービスを受けたい」という女性が出てきても不思議ではない。

「ただ話を聞いてほしい」ばかりにホストクラブに通い詰める女性もいるなか、秘かに勢力を伸ばしているのが「レンタル彼氏」、「おっさんレンタル」といった新業態だ(写真は本文とは関係ありません)

 だが、興味はあるが実際に利用するとなると二の足を踏むという女性も、まだまだ少なくない。

 そこで今回は、こうしたサービスに興味があるという女性の声、そしてサービスを提供する側は何を目指しているのか、双方の本音に迫ってみた。

「ホストさんは、お話を聞いてくれます。でも、連れて歩くとなると『いかにも…』という感じで。ごく普通の服装だと助かるのですが。そもそも私、お酒、そんなに好きではないので。それにホストクラブ通いは、1人暮らしOLの財布にはかなり厳しいです」

 こう語るのは東京都内に住むOL(35)だ。彼女は今から数年前、仕事、恋愛、両親の介護問題といった日常のトラブルが重なったストレスで、ホストクラブに通い、憂さを晴らす日々を送っていた。

 ホストクラブといえば、1回通うだけで何百万という金額をつぎ込んだという話をよく耳にする。しかし実際には、それはごく珍しいケースだという。事実、彼女の場合、1回当たりの出費は「高くても10万円までだった」という。

 とはいえホストクラブ通いにハマった1年間、彼女が使った総額は150万程度。年収は約450万円というから、収入の3分の1をホストクラブに費やした計算だ。

「店の外でのデートやプレゼントを含めると、もう少し出費は嵩んでいます。確かにホストさんを連れて町を歩くと、非日常世界を楽しめるのですが、今思い返すと、ちょっと違うかな…と。私が求めていたのはお酒を飲んで騒ぐことではなく、ただ静かに話を聞いてほしかっただけなんです。それに気づいてからは、ホストクラブ通いはきっぱりやめました」

 このOLにとって、ホストクラブは出費がかさむ割には、「話を聞いてほしい」という欲求を完全に満たしてもらえる場ではなかったようだ。こんな声に対して、東京都内のホストクラブに勤める現役ホスト、タクヤさん(仮名・28)は、次のように語った。

「私たちホストクラブは、ハコ(店)に来ていただいて、お酒を召し上がっていただくことで売り上げを確保しています。なのでお話を聞く、店の外でのデート…それらはすべてホスト個人のサービスに過ぎません。そこを期待されているお客様もいらっしゃることはわかります。でも、それはホストクラブが提供するものではないのです」