「廃棄率ゼロ」が大事な理由

 一説によると、一般的な野菜農家では、収穫物の平均3割が廃棄されているといいます。

 理由は、サイズが規格外であったり、曲がったりしているなど、見た目が悪く市場で扱ってもらえないことや、豊作で市場に出しても採算割れする……など、様々です。

 しかし、風来のように小さい畑だと、野菜ひとつひとつが貴重なもの。私は「もったいないの精神」で、ひとつたりとも廃棄しないよう様々な工夫をしてきました。

 そのひとつが加工です。

 漬物加工などは、付加価値をつけるためだけだと思われがちですが、漬物は本来保存食。
 一度に多く穫れすぎた野菜を漬物にすることで、売上のピークをずらすことができるメリットがあります。

 もちろん、多少見た目の悪いものも、漬物にすれば活用できるのでムダが出ません。

 また、野菜の単品販売はせず、野菜セット(2000円〈税抜〉~)にして販売していますから、野菜をこちらが選べるのでムダが出にくくなります。

 そして、売上の中心となっているネット販売は、言い替えれば常に予約販売です。
 その日の野菜セットの発送分だけ収穫すればいいので、店頭に並べて古くなった野菜を廃棄するようなロスがなくなります。なにせ野菜は畑に置いておくのが一番新鮮なのですから。

 廃棄するということは、1円にもならないどころかそれまでの生産活動、かかった原価もムダにするということ。廃棄率をゼロにすることは、売上、所得(利益)アップに直接つながるのです。