ネグレクトやDV家庭の子は
風俗で稼ぐことすら難しい

中村 だけど、貧困に陥らないためのメソッドなんてものは存在しないと思いますよ。特に女性の貧困の場合は、普通の人が普通に生きていくだけで貧困になるケースが多い。真面目な人が図書館司書になって貧困。お年寄りが好きだからと介護職になって貧困。頑張った先に貧困が待っている。

橘 そういった人を、「この仕事についたから悪い」みたいにバッシングする人もいますからね。もはやいじめです。

中村 あと、貧困とセックスワークは密接な関わりがありますが、やはり困窮した末に身体を売る女性は増えすぎている。女性の裸になる理由と政治経済の状況は直結しているから、身体を売る女性を減らすことは日本の大きな課題ですよ。

橘 やっぱり身体を商品にしている女の子の心は傷ついているし、いろいろな面で荒みますよ。消えたい、死にたいとさえ思ってしまう子もいますしね。

中村 ただ、ちょっと前の、真面目にレールに乗っていれば普通に生きられるという世の中だったら、身体売るのは辞めてちゃんと働きなよ、結婚しなよって言えた。けど、今言えないじゃん、それ。ブラック企業に虐待されて貧困になるぐらいなら、売春のほうがマシ、というのは正論というか、普通の感覚になっている。

鈴木 でも中村さんが言うマシな売春っていうのは、人間関係がしっかりしていて、十分な報酬がもらえる、いわゆる「愛人関係」のようなものですよね。

中村 格差が広がる中で、富を再分配できる手っ取り早い方法は、やはり恋愛やセックスでしょう。パパ活みたいな現象も起こっているし。割り切って経済的に助けてもらっている女性に対して、大手メディア社員のような恵まれた家庭で育った富裕層が妙な倫理観を押し付けて、周りでガヤガヤ言うのはおかしいよね。

橘 ただ、愛人関係やセックスワークで相応のお金を稼ぐことは、ものすごくハードルの高いことですよね。特に、家庭に問題があって相応の資本がない子たちからすると難しいことだと思います。

鈴木 そう。極端な話、今風俗で稼げている子は、風俗以外でも食っていける子の集団です。風俗しか選択肢がないと言う子は、いまや風俗では通用しなくなっている。

 風俗が無理で本当に底辺の売春で食っている子の特徴に、お尻や足がブツブツだらけっていうのがある。売春を管理する側の業者からよく聞く話ですけどね。体の洗い方がわからないんですよ。それすらも教えてもらえなかった子たちなんです。取材をしていても、すごく臭う子もいる。