内需拡大と人民元高の
恩恵を受ける航空業界が面白い

 これまで9回にわたり、中国の注目企業をご紹介してきましたが、今回は最終回として、これまでに取り上げた以外の優良セクター・企業を見てみたいと思います。実際のところ、中国にはまだまだ面白いセクターや企業がたくさんあります。

 たとえば、航空業界です。中国には東方航空、南方航空、国際航空の大手3社があり、その他にいくつかの中堅航空会社が存在します。

 中国の航空会社は2008年には金融危機による打撃と原油高が重なって、多くの会社が赤字に陥りました。大手3社でも当時は、最も安定していた国際航空を除いて、破綻もありえる財務状態であり、実際に東方航空は自力では耐えられないほどの債務超過に陥っていました。しかし国からの資産注入を各社が受けて何とか生き延び、その後、中国の積極的な景気刺激策による市場の回復とともに、業績はV字回復をしているところです。

 日本を含め世界の航空会社を見ると、まだまだ経営的には厳しいところが多く、このような状況は中国特有の状況かもしれません。やはり中国の消費市場の力強さが感じられます。

 実際の数字を見てみましょう。2010年上半期の航空業界の売上は前年同期比41.9%増の1839億元、利益は174%増の133億元と大きな回復を遂げています。旅客輸送量は17.6%増の1.26億人、貨物輸送量は38.6%増の264.1万トンです。

 中国の旅行ブームの本格化はこれからが本番であり、今後長期的に、一段と航空機利用者は増えていく方向にあると思います。

 また、人民元が今後切り上がる方向にあることは間違いないと思いますが、これによって航空会社はメリットを受けやすい立場にあります。

 まずコストの3割程度を占める燃料油をドル建てで購入している点があります。原油が最近上昇してきていることはマイナスなのですが、人民元が上昇すれば仕入価格がそれだけ安くなり、原油高のクッションとなりえます。