世界の銀行上位行の時価総額を比較すると、20兆円を超える工商銀行を筆頭に、トップ5のうち4行が今や中国の銀行という時代になりました。米国の銀行は2009年に株価が数倍となるリバウンドを見せましたが、規模ではもはやかなわない状況です。ちなみに三菱UFJ銀行は世界のトップ10にも入っていません。
中国の銀行がこれだけ巨大になった背景には、そもそも中国人が貯金好きであり、中国全体の預金残高が日本の預貯金をも超え、また一方で2009年1年間だけで130兆円を超える新規融資が政府主導で行われ、中国の預金・貸出が経済の発展に沿って大きく伸びているという事情があります。
一方、日米を含めた先進国はゼロ金利など、中央銀行の緩和政策で市中の銀行まではジャブジャブなのですが、そこから先に貸し出しが進まず、マネーサプライは縮小しているような状況です。つまり、それだけ資金を借りる借り手がいないわけです。
また、日本の銀行はバブルの時の教訓もあって、リスクのあるところに積極的に貸し込みを行おうとはしません。ジャブジャブのお金の中で、先進国の銀行は中国のように新規融資には向かえず、苦しい台所事情の日米政府が大量に乱発する国債の受け手になっている様子です。
ちなみに中国の銀行は経済成長が高くて資金需要が大きいことはもちろんですが、政府のGOサインが出ればリスクのあるところにもどんどん貸し込みます。
ところで、中国の銀行が、これだけ大きな時価総額になっているわけですから、仮に中国のトップ行が駄目になるようなことになると、中国の経済自体が終わってしまうことを意味するでしょう。中国経済が今後発展するのであれば、大手銀行株はその波に乗って成長し続けると思います。
中国と世界の最大行となった工商銀行と、
中国2位の建設銀行
中国にはもともと、商業へのファイナンスを担っていた工商銀行、インフラ系へのファイナンスを担当していた建設銀行、為替と貿易を担当していた中国銀行、農業担当の農業銀行という4つの国営銀行がありました。