際立つ日本航空の動き

 イベントは、LGBT当事者の全てを対象としていたが、参加者で最も割合が高かったのは“T”のトランスジェンダーだった。

 一口にLGBTといわれるが、就職活動で最も厳しい現実に直面するのがトランスジェンダーだ。レズビアンやゲイは、素顔ならば、外見で男女の判断が付く。ところが、トランスジェンダーは、ホルモン療法で「男性から女性」「女性から男性」に変わる過程で、外見では男性なのか女性なのか判別しにくくなる。しかも、L、G、Bは、Tほど就活で排除されない。

 今回のイベントを主催したNPO法人 ReBit の藥師実芳代表理事は、「女性から男性」になった当事者である。「トランスジェンダーは、就活で心無い発言に傷ついたり、働くことを諦めてしまったりします。ですが、恐れることなく、前を向いて生きてほしい」。

 意外にも、会場で目立っていたのは、2016年の初頭からLGBT施策に本格的に乗り出した日本航空だった。個別の説明会(30分×9回)では3人の担当者が交代で熱弁を振るうなど、他のブースより“人の輪”が大きかった。なぜなら、国内のある整備工場で、トランスジェンダーへの対応で試行錯誤を続けた話の中身が具体的だったからだ。

 時代は、少しずつ変化している。LGBTと向き合う地に足の着いた取り組みは、今後も増えていくことだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)