日本一挑戦権をかけたプロ野球、クライマックス・シリーズ・ファイナルが終わった。
セは広島がレギュラーシーズンの勢いを継続して3位から勝ち上がった横浜DeNAを圧倒。パは北海道日本ハムが、大谷翔平の日本最速165キロを連発する異次元投球などもあって福岡ソフトバンクを退けた。
今季の広島と日本ハムの勢いに乗った強さとタレントの豊富さは群を抜いていたといってよく、日本シリーズでの対決は両チームのファンを超えて注目が集まるはずだ。22日(マツダ)の開幕が待ち遠しい。
その前々日の20日には、プロ野球ファンにとって、もうひとつの大きな楽しみがある。ドラフト会議だ。
とくに今年は投手が豊作で、将来のエース候補の指名権をなんとかして得ようと、各球団が腹の探り合いを行っているといわれる。ひいきチームが誰を指名するかという興味とは別に、そうした駆け引きも見ものなのだ。
今年のドラフトは創価大のエース
田中正義を中心に動く
その駆け引きの中心的存在が東京新大学1部リーグに所属する創価大学のエース・田中正義だ。田中がリーグ戦でデビューしたのは2年時。この年は春3勝1敗、秋は1試合に登板しただけで目立つ存在ではなかったが、評価を一気に高めたのが3年時(昨年)だ。
春は6試合に先発して6勝0敗、防御率0,40。秋も6試合で6勝0敗で失点0。つまり完璧に相手打線を抑え込んだのだ。
リーグ戦での好成績に加えて、さらに評価を高めたのが、この年の6月に大学日本代表の一員として対戦したNPB選抜戦での快投だ。4回を投げて、7者連続を含む8奪三振、被安打ゼロ。のべ12人の打者を完全に抑えた。
対戦した打者は若手とはいえNPBの各球団に所属し、野球で飯を食っているれっきとしたプロだ。そのプロをきりきり舞いさせたのだから一躍、翌年のドラフトの最大の目玉といわれるようになった。186センチ、90キロの恵まれた体格。ノーワインドアップ(セットポジションのこともある)の無理のないフォームから最速156キロのストレートを投げ、キレのあるフォークも武器に持つ。この頃は、全12球団が1位指名するのではないか、といわれたほどだ。
だが、今年に入って不安要素が生まれた。春のリーグ戦の2試合目(4月)の登板で右肩の違和感を訴えて降板。その後は治療に専念することになった。6月には投球練習を再開し、秋のリーグ戦では150キロ超のストレートを投げるまでに回復したが、ドラフト直前での肩の故障はマイナス要因であり、評価を若干落としている。