仕事のパフォーマンスを上げる秘訣は
まず骨をゆるめること

――一般の人のヒントになるようなアドバイスはありませんか?

渡辺 呼吸が大事だと思いますね。ストレスが増すと吸う時間が長くなり、その分、吐く時間が短くなります。

松村 そうした深い呼吸をするためにも、体幹のやわらかさは必要ですね。体を固めてしまうと横隔膜が動かなくなり、呼吸も浅くなります。

渡辺 先ほど話したあばらのほぐしに加え、整体的には小指をもむこともおすすめですね。小指をほぐすと副交感神経が優位になり、リラックス度が増すと言われているんです。

松村 指をもむのはいいですね。第一関節の部分をこまめにもんであげるだけで、ストレスケアになりますよ。

渡辺 ゴルフボールの上に足裏を乗せ、体重をかけてグリグリやると、老廃物がとれ、全身がすっきりします。ストレスがたまっていると痛みは強いですが、体のほうは喜びますよね(笑)。

松村 皆さん、頑張りすぎているんですよ。だから、まずはゆるめてあげる。骨ストレッチを実践する場合も、言われたことをこなすだけでなく、心地よさを体感することが大事です。心地よさを求めるのはハイパフォーマンス、頑張りを求めるのはローパフォーマンスですから。

――渡辺さんは、去年、武井壮さんらとのチームでマスターズのリレーでアジア新記録を出しましたが、今後のチャレンジは?

渡辺 まだまだ体力的に問題はないですし、マスターズでも、実業団でも記録は出せると思っています。ですから、当面は記録もしっかり求めていきますが、同時に体の使い方をもっと極めていき、人が見ていてワクワクするような自分も周りも楽しくなる走りを実現していきたいですね。

松村 体が喜ぶことって、じつは「常識外れ」のことが多いんです。その意味では、頭を柔軟にして、非常識な発想を身につけていくことも大切です。骨ストレッチを体験することで、皆さんにはこれまでの発想そのものを見直していってほしいと思っています。

渡辺 常識に守られていると安心できますが、正解がその安心の中にあるかというと、そうではないですよね。

松村 非常識であること、不安定であることを怖がらず、楽しんでいくことが、これからの時代で活躍するキーワードでしょう。渡辺さんのこれからの活躍も、大いに期待しています。