老眼で手元を離しながら本を読む高齢男性写真はイメージです Photo:PIXTA

試験の点数、売上目標、KPI――私たちは日々、数字に囲まれて生きている。しかしその数字は本来「目的への道しるべ」にすぎないはずだった。いつの間にか、それを上げること自体がゴールになってはいないだろうか。心理学者・小塩真司氏が、日常や組織の中で静かに進行する“目的と手段のすり替わり”の正体を明らかにする。※本稿は、早稲田大学文学部学術院教授の小塩真司『「数値化」中毒 なぜ手段が目的に変わるのか』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

オンライン書店で検索した
「認知能力検査」の驚きの結果

 授業の教材を探していたときだったか、書籍の構想を練っていたときだったか……正確な目的はもう思い出せませんが、あるときオンライン書店で「認知能力検査」と検索したときの驚きは、今でも鮮明に覚えています。

 検索結果として予想したのは、心理学の専門書か、専門的な内容をわかりやすく解説したような書籍でした。ところが検索結果に表示されたのは、高齢ドライバー向けの「認知機能検査の対策本」ばかりだったのです。

「認知能力検査」と「認知機能検査」――キーワードは多少異なりますが、キーワードに関連する本として検索結果に表示されてきたのはこの手の本ばかりだったので、驚いたというわけです。

 この「認知機能検査」は、2007年に改正され、2009年に施行された道路交通法に基づいて導入されました。このときから、75歳以上のドライバーは免許更新時に認知機能検査を受けることが義務づけられたのです。この制度は、高齢化とともに増加した重大事故への対策として期待されました。高速道路での逆走、信号無視、ブレーキとアクセルの踏み間違いなどです。