問題はコミュニケーション手段として
「メール」に頼りすぎていたこと
――2014年5月にダイヤモンド・オンラインで「ワークスタイル変革」について解説されていますが、当時に比べてコミュニケーション・ツールはものすごく多様化し、進化しています。現在の状況をどのようにとらえていますか。
たしかに社内におけるコミュニケーションのソーシャル化は顕著ですね。コンシューマ市場で培われた、あるいは慣れ親しんだツールが業務の現場にどんどん入ってきています。ただ、そういった手頃なツールを積極的に導入している企業とそうでない企業との二極化現象が起きているのも事実です。
足踏み状態の企業は、往々にして「会社としてきちんとルールをつくり、基盤を整備してから導入すべき」という考え。いまだに電子メールとグループウェア(組織内の情報共有のためのシステムソフトウェア)で、旧態然としたコミュニケーションを続けているところも多いですね。
ソーシャルシステムについてはやや乱立気味ですが、コンシューマ向けと同じようにビジネスにおいても"本当に使いやすいもの"に収斂されていくでしょう。
――やはり、メールでは限界があるのでしょうか?
メールが悪いというのではなく、そもそもそれしか道具がなかったため、コミュニケーションをメールに頼りきっていたところに問題がありました。じつは最初から歪みがあったんですね。
歪みというのは、本来、メールを使うべきではない業務もすべてメールが背負い込んできたということ。そのために、「一斉送信するくらいなら、掲示板に貼っておけばいい」「返信、返信、返信…と続くなら、タイムラインのほうが見やすい」「読まなくてもいい添付ファイルが多すぎる」などいろいろ問題があったわけです。実際、不便に感じている人も多いのではないでしょうか。
これは「会議」にもいえることで、意見を発表するだけなら掲示板でもいいわけです。問題は、これまでコミュニケーション手段として、電子上はメール、リアルは会議と、この2つに偏りすぎていたこと。本来は、いくつかのコミュニケーション手段を目的に応じて使い分けるべきです。