リアル二刀流の実践者が
新ビジネスモデルを生み出す

 社内業務と社外業務のリアル二刀流のひとつは、人事や総務など社内オペレーション業務と、社外人事コンサルタント業務の二刀流である。

 社内人事と社外人事コンサルティング業務を並走させることは、社内ユーザーからみれば、社外に対してコンサルタントとしても売れるレベルの人事サービスの提供を受けている、という理解を高めることに役立った。社外で実施されているさまざまな人事施策の先進事例で、自社に合うものを取り入れることも容易となり、社員からは歓迎された。

 この話をすると「2つの業務を併行して行う時間やエネルギーがないのが現実だ」という反応もあった。しかし私の体感では、共通するアクションもあり、必要となった時間やエネルギーは2倍ではなく、1.25倍程度に過ぎなかったように思える。

 社外向けに研修トレーナーとして取り組むことと、パイプラインを拡充するための社内マーケティング業務の二刀流の経験もある。

 マネジメントスキルやビジネススキルを一層向上させる演習をクライアントに対して実施していると、その企業のさまざまな課題が共有されるし、その企業の研修参加者や研修主催者と親密な関係になる。そうした中で、研修目的以外の経営課題や人事課題に関する相談を受けることが多くなり、他のコンサルティングプロジェクトが発生する確度が高いのだ。

 これらの経験をふまえて、リアル二刀流を成功させることは、ビジネス領域の穴を埋めるだけではなく、ビジネス伸展を飛躍的に高めるために大いに役立つと思うようになった。

 一般通念では異質とみられている業務を、リアルタイムで実践していくことは、当の本人から見れば遂行できる業務の幅を広げるし、相互にシナジーを生む部分が生まれ、パフォーマンスの量だけでなく質も高めることになる。私が経験したリアル二刀流は上記のとおり相互に親近性が高かったり、一方が他方の延長線上にある業務であったりしたが、両業務の異質度合いが高ければ高いほど、シナジーを生む可能性はむしろ高まるに違いない。

 グローバル化や技術革新の加速度が高まる中、わが国のビジネスパーソンは、新しいビジネスモデルを生み出す転換点にいる。新しいビジネスモデルは、従来型の「縦割り組織の掟」からは決して生まれてこない。異端児がリアル二刀流を実現していく中で、全く新しいモデルが生まれる可能性が高いと、私は考えている。それはあたかも、大谷選手がメジャーリーグのメディアさえ予想しなかった世界を、われわれに見せてくれるかのような、エポックメイキングな出来事なのではないだろうか。

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。画像はイメージです