治療が長引いた場合は、「多数該当」という配慮があり、医療費が限度額を超えた月が直近12カ月以内に3回以上になると、4回目からは限度額が4万4400円に引き下げられる(所得が一般の場合)。

 この制度のおかげで医療費は際限なくかかるわけではないのだが、こうした保障があることを知らない人は多い。

 中小企業の会社員などが加入する協会けんぽ(旧・政府管掌健康保険)では、2003年に高額療養費を利用できるケースが179万件あったにもかかわらず、還付を受けた人は110万件。69万件は還付申請がされないままだったという。

 前出の調査でも、疾病入院給付金が支払われる生命保険に加入している人は71.3%もいるのに、高額療養費の還付について知っている人は43.8%で半数に満たないという残念な結果となっている。

 健康保険は民間の保険のようにコストをかけて大々的に宣伝することがない。原則的に申請主義で、保障内容について説明を受ける機会もほとんどないため、お金が戻ることを知らずに損をしている人も多いようだ。

 こうした事態を解消するために、協会けんぽでは2006年4月から高額療養費の対象になる人には還付申請のお知らせを通知するようになった。大手企業の社員などが加入する健康保険組合、公務員が加入する共済組合は自動的に還付を受けられる。自営業者などが加入する国民健康保険は、自治体ごとに対応が異なるので、高額療養費の対象になりそうな人は問い合わせてみるといい。

 還付申請の時効は2年だ。医療費がたくさんかかったのに高額療養費の申請をしていないという人は早めに手続きをしよう。