申請漏れで大損!高額療養費の「もっとお金が取り戻せる」仕組みとは写真はイメージです Photo:PIXTA

高額療養費は、高額な医療費がかかった際に過度な自己負担が生じないようにする制度だ。収入に応じて自己負担限度額が定められているが、「世帯合算」をご存じだろうか。『医療費の裏ワザと落とし穴』301回では、その仕組みについて解説し、どんなケースが対象になるのか詳しくみていく。(フリーライター 早川幸子)

現在も議論が続いている
「自己負担額限度額の引き上げ」

 2025年の年明けに世間を騒がせた高額療養費の自己負担限度額の引き上げは、各方面からの批判を受けて凍結された。その後、厚生労働省の医療保険部会に「高額療養費の在り方に関する専門委員会」が設置され、患者の代表など当事者を交えた議論が現在も続いている。

 高額療養費はがんや難病などの患者にとっては命綱ともいえるもので、自己負担限度額が大幅に引き上げられた場合は「治療を諦めざるを得ない」という声も聞かれた。そのため、政治家やメディアを巻きこんだ大きな議論に発展したが、大きな病気やケガをしない限りは使うことのない制度なので、今回の議論がピンとこなかった人もいるだろう。

 だが、ある日突然、がんと診断されたり、心筋梗塞になったりして、高額な医療費がかかる可能性は誰にでもある。いざ当事者になった時に、その仕組みをよく理解しておかないと大損してしまうことになる。

 とくに知っておきたいのが「世帯合算」という仕組みだ。家族の医療費をまとめて高額療養費の申請できるというもので、利用できればさらに負担が下がる可能性がある。だが、利用には一定のルールがあり、同じ世帯の家族の医療費なら何でも申請できるわけではない。

 そこで、今回は世帯合算ができる医療費・できない医療費をケース別にみていきたい。