当該企業は過去20年以上グローバルでのM&Aを行い、特に直近10年で売り上げが2倍以上になるなど順調に成長を続けていた。ただし、M&Aにより成長をしてきた結果として、調達をはじめとする業務機能が各地に分散して存在しており、競争力の更なる強化に向けた改革が必要になっていたのである。

 PwCはクライアントともに「グローバル調達組織の集約」を中心としたプログラムを実行し、スケールメリットにより数億ドル以上のコスト削減効果を創出するとともに、運転資本の改善や購買価格変動の管理強化にも成功している。

 なお、このプロジェクトは、3年以上の時間をかけて、業務及びITの集約を行っている。複数の会社を跨いだ機能統合が必要となるM&A後のトランスフォーメーションには、相応の時間を要することを認識し、マネジメントの強力なリーダーシップを発揮して進めることが必須である。

さらなる効果創出の手段

 購買業務のグローバル集約により、我々の経験上、数パーセント程度の削減効果を得られることが多い。では、その先はどうすればよいか。PwCではプリンシパルモデル、という概念でその先の効果創出を支援している。

「自治」という逃げからの脱出<br />――M&Aにより真のグローバル企業を目指す(出典:PwC)

 プリンシパルモデルとは、「グローバルでの意思決定・リスク・資産を集約し、1極がコントロールタワーとなるモデル」である。つまり、購買をスタート地点として、販売や生産、物流、在庫に関する意思決定権限やリスク、資産を集約することで、さらなる業務効率化を目指すものになる。

 たとえば、販売に関して言えば、販売会社は在庫を持たず、販売したことによるコミッションを受け取るモデルとなる。在庫は常に集約組織が持ち、リスクも負う。そのうえで、こうしたリスクや資産に応じた手数料を各社から受け取る。責任を持つ業務・リスクが大きくなるほど、集約組織に多くの利益が集まることになり、もしこの組織が低税率国に置かれていれば、享受する効果は大きくなる。

 しかし、ただやみくもに業務を集約するだけでは、他部門との連携を含めた効率性の悪化や、前述の税を中心としたリスクが高まる危険性がある。こうしたリスクを回避し、効率的な業務を構築するために、PwCでは戦略・業務のコンサルタントと税理士法人が一体となり、価値を生むプロジェクト実行を支援している。