シナリオで学ぶ「叱り」の技術
今回からは、シナリオのように会話体で「叱る」方法を紹介していきます。
上司と部下という関係であっても、職場や組織の状態、地域、お互いの性格や年齢など、さまざまな要素がからんできますので、いつも必ずこのセリフを言えばうまくいくということではありません。あくまでも、状況に合わせてあなたなりの方法を見出すためのヒントとして、参考にしてみてください。
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部下が自分の大先輩だった場合
部下が自分より年上で、なおかつ経験豊富である場合、ミスを指摘したり、相手を叱るのは、なかなか難しいものです。相手のプライドを傷つけずに、やる気を引き出すために、どのように接したらよいか。ケースを見ながら学習していきます。
[登場人物]
伊川比佐雄(57歳)
勤続30年のベテラン職長。現場一筋で製造ラインを管理する。部下からの信頼も厚いが、最近、作業工程でのミスが続いており、やや元気がない。
薬師広司(45歳)
機械部品メーカーの製造課長。かつては、自らエンジニアとして、伊川の下で働いていた。管理部門に異動後、昇進を続け、現在は伊川のラインをはじめ現場の管理にあたる。そのため、伊川に対しては厳しいことを言えない。
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かつての上司だったがゆえに指導しにくいとき
職人気質で周囲の信頼を得ている伊川さんですが、最近、ときどきモチベーションが落ちてミスをします。昨日も、サンプルの計測ミスをして、不良品が出てしまいました。