学歴の文字写真はイメージです Photo:PIXTA

「実力主義の現代、もう学歴は関係ない」──そんな常識を信じていませんか? 実は今、人事採用の最前線では、逆に「学歴重視」の傾向がますます強まっています。高学歴な人材が圧倒的に有利になる“残酷な理由”が存在するのです。採用市場に起きている変化、「学歴フィルター」に頼りすぎるリスク、学歴に頼らずに優秀な人材を見抜くプロの面接術について、人事・採用のプロが心理学の知見を踏まえて解説します。(人材研究所ディレクター 安藤 健、構成/ライター 奥田由意)

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超重要キーワード
「実務の知性化」と「流動性知能」

 かつてのホワイトカラーの仕事は、定型的な事務作業やコミュニケーション力が中心でした。

 たとえば営業職は顧客リストを作り、電話をかけ、飛び込み営業を繰り返す…。全フロアに営業をかける「ビル倒し」なんて言葉もありました。

 要するに「行動量」がものを言う時代があったのです。人事職も、ベテランが長年の「勘と経験」を頼りに判断を下すのが当たり前でした。

 しかし今は違います。営業職でもデータを分析して見込み客を絞り込み、商談率を高める論理的思考が求められます。

 人事の世界では「データベースドHR」「データドリブンHR」と呼ばれる、統計的手法や心理学の知見に基づく意思決定が一般化しています。

 私はこの変化を「実務の知性化」と呼んでいます。仕事が知性化していくほど、情報を素早く処理し、バラバラな個々の事象からルールを発見し、論理的に問題を解決する能力――いわば「脳のOS性能」を上げることが仕事の成果に直結するようになっています。

採用現場でささやかれる
「学歴フィルター」の背景

 さて、では、このように仕事の質が根本的に変わるなかで、学歴がいまだに採用の指標として機能しているのはなぜでしょうか。

 学歴が立派でも仕事となると「使えない」から「学歴は不問にすべき」という現場の声は確かにあります。

 一方で、ハイパフォーマーを分析すると、学歴と職能の間に一定の相関が見えてくるのも事実です。

 実は、学歴が採用を左右する理由は「流動性知能」という心理学の概念を知ると、クリアに説明がつきます。学歴と仕事の能力の相関を解き明かす概念について解説していきます。