11月薄型テレビ販売は前年比505%超!
エコポイントで市場は3~40%底上げ
家電エコポイント付与額の半減に伴い、駆け込み需要が膨らんだ2010年11月。1ヵ月のテレビ販売台数は前年比505.3%、金額も381.6%(BCN「2009年~2010年薄型テレビ全体の販売台数・金額前年同月比」)と、驚異的な伸びを見せた。
BCNが集計した全国大手家電販売店のPOSデータによると、エコポイント実施期間中の薄型テレビの販売台数は前年比160%前後で推移。特に2010年は、3月の家電エコポイント基準の変更に伴った駆け込み需要が生じて前年同月比256%と大きく伸び、その反動で5、6月は金額で前年を割れたが、夏以降にはまた盛り返し、10月、11月は大きな駆け込み特需が起きた。
また、同データから07年11月の販売台数を基点(指数1)とし、各月の相対的な販売台数の伸びを指数で見てみると、10月と11月の駆け込み需要の大きさがよりわかる。08、09年初頭は「デジタル化需要」、09年5月以降は「エコポイント需要」が起きたとはいえ、販売台数指数が1~3で推移していたのに対し、10年10月は指数5、11月は指数10となっている。このことからも、今回の“駆け込み特需”がいかに異常だったかがわかるだろう。
つまりエコポイント開始前は、前年比2割増程度で推移していた売上が、開始とともに3~40%底上げされたまま推移をし、駆け込み需要で大きく跳ね上がったというのがこの1年の動きである。
今回の家電エコポイントは、当然、新たな需要を創出したわけではない。平坦だった需要を固めて前倒しにした“先食い”である。ただ、11年7月でアナログを停波させるためにそれまでに購入させるという政策上の目的と、環境問題とは別の景気対策として必要悪的な役割を担ってきた。短期間の間に購買を集中させることで経済効果があったと考えられ、需要の先食いではあるが、ある意味で「成功」と言ってよいだろう。
需要が急増したのになぜ?
平均単価が下がり続けた理由
また、この異常な特需を生んだ昨年の薄型テレビ市場は例年と大きく違う点を見せている。それは、平均単価の推移だ。通常は夏になると、新モデルの切り替えやボーナス商戦で大型商品の売れ行きが好調になるため平均単価が上昇するが、今年は夏も下がり続けた。