作家の今村翔吾氏作家の今村翔吾氏 Photo:SANKEI

出版業界・書店業界の不況が叫ばれて久しい。自身も書店経営を行う直木賞作家の今村将吾氏によれば、業界は明確に二極化しているという。生き残る店はどこが違うのか、作家が書店経営者の視点で解説する。※本稿は、作家の今村翔吾『書店を守れ!』(祥伝社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

書店の二極化で
正念場の「中規模書店」

 まず、比較的確度の高い見通しを述べさせてもらうなら、今後の数年で、書店の「二極化」はいっそう進行するでしょう。生き残るのは「最大手」と「小規模な個人書店」だけになって、その中間、すなわち中規模書店が脱落していく。きのしたブックセンターや佐賀之書店(編集部注/どちらも、今村氏がオーナーである書店)もこのカテゴリーに含まれますから、これからの数年は本当に正念場です。

 なぜ、中規模書店は生き残るのが難しいのか。

 ここで言う「中規模」とは、「町の書店」としてはそれなりの売場面積と品揃えを持ち、スタッフも数人雇っているような店を指します。特定の地域に複数店舗を展開している地場チェーン店も、基本的にはここに含めてよいでしょう。

 いわゆる「大手資本の全国チェーン」でもなければ、「店主がひとりで切り盛りする独立系書店」でもない、その間の層です。おそらく、みなさんが「町の書店」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、この中規模書店でしょう。

 こうした書店が苦境に立たされている最大の理由は、「コスト構造は重いのに、規模のメリットが足りない」点にあります。書店とは利益率の低い商売です。中規模以上の書店になると、家賃や人件費といった固定費の負担が、個人店とは比較にならないレベルで重くのしかかってきます。その経営の難易度は、「店主ががんばればなんとかなる」というレベルをはるかに超えています。