「まったく応援する気になれない」
それでもトランプに投票した理由

ネバダ郊外の市に住むトランプ支持者、マラヤ・エバンズ(写真上)。マラヤがつくって飛ぶように売れたトランプ関連グッズ(写真下)

 ラスベガスから車で40分ほど離れたボルダーシティに住むマラヤ・エバンズ(50歳)は、トランプに投票した1人だ。彼女は赤と青のトランプTシャツを着て「Make America Great Again」の帽子を被るような熱狂的なトランプ支持者ではない。オレンジとピンク色のスカーフを頭に巻き、カラフルなシャツに身を包んだ彼女は、服装だけ見れば、一見おしゃれなヒッピー風に見える。

 そして開口一番、こう言った。

「ドナルド・トランプを神か救世主のように盲目的に崇めているトランプ支持者がいるけど、私にはその気持ちが全く理解できない。彼らはどうかしてると思う」

 それでもトランプに投票し、自宅の庭にはトランプサインを立てた。

「ボルダーシティ共和党女性の会」の会長を努める彼女は、もともと共和党のテッド・クルーズ候補の保守派路線を支持していた。トランプが予備戦でテッド・クルーズの父親がケネディ大統領暗殺に関係していたという内容の発言をしたときは、驚き呆れ「この男、何を言っているんだ」と絶句した。

 テッド・クルーズは共和党党大会でも、最後までトランプを支援することはなかった。「そりゃ、自分の父親が大統領暗殺に関わっていたかのように語られたら、そんな人間と一生涯絶交して当然でしょうよ」と彼女は言う。それでもトランプに投票するのに、迷いは一切なかった。

「クルーズが撤退した以上、共和党の候補者としてトランプしか選択肢はない。長年政治に関わっていれば、妥協の仕方も学ぶ。政治家は神でも親友でもない。自分たちが通したい政策を通せる候補か否か、それだけだから」

 彼女はトランプTシャツなどは一切身につけないが、トランプ陣営の資金づくりには最小の労力で最大の集金効果を得られる方法で貢献してきた。ヒラリーがトランプ支持者たちを差して「a basket of deplorables」(嘆かわしく恥ずべき人々)と呼んだのが話題になったのをヒントに、「I am an adorable deplorable」(私は愛すべき恥ずべき人間です)という言葉を印刷したバッチをつくった。1つ2ドルで売り出したところ、トランプ支持者たちに飛ぶように売れ、瞬く間に500ドル集まった。