ここでその後の人生については無視して、球団に所属していた期間のみの所得を考えると、球団で10年間登録選手として働いた場合、平均して3億7000万円と算出される。一軍登録選手に限ると、6億5000万円となる。しかし一方で、二軍生活を10年続けた場合は野球人生における所得は8000万円にしかならない。

 野球選手とサラリーマンの生涯所得を比較すると、一軍で活躍したプロ野球選手であれば、生涯所得は一般のサラリーマンより高い額となる。スター選手ともなればそれに輪をかけて高額となる。しかし万年二軍選手や、数年で解雇された選手の場合は、サラリーマンの生涯所得がほうが高い可能性は十分にある。

一読のすすめ

 著者は兵庫県西宮市出身で阪神タイガースの熱心なファンとのことだが、本書の内容は極めてフェアで、経済学的な解釈でプロ野球が語られている。紙幅の関係で要約では触れていないが第5章のアメリカ大リーグとの比較で日本プロ野球を評価する試みは、他ではあまり触れることのできない新しい知見、提案が豊富になされている。野球好きな方はもちろん、あまり野球に興味のない人でもビジネスとしての野球の実態を知る貴重な機会を本書で得て欲しい。

評点(5点満点)

著者情報

橘木俊詔(たちばなき・としあき)
 1943年兵庫県生まれ。小樽商科大学卒、大阪大学大学院修士課程修了、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。京都大学経済学部教授、同志社大学経済学部教授を経て、現在京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授。その間、仏米英独で教育・研究職。2005年度日本経済学会会長。専攻は経済学。
 著書に、『格差社会』(岩波新書)、『女女格差』(東洋経済新報社)、『早稲田と慶応』(講談社現代新書)、『学歴格差の経済学』(共著、勁草書房)、『東京大学』(岩波書店)、『教育と格差』(共著、日本評論社)、『灘校』(光文社新書)、『日本の教育格差』(岩波新書)、『京都三大学 京大・同志社・立命館』(岩波書店)、『女性と学歴』(勁草書房)、『三商大 東京・大阪・神戸』(岩波書店)、『宗教と学校』(河出書房新社)、『学歴入門』(河出書房新社)、『公立vs私立』(ベスト新書)、『ニッポンの経済学部』(中公新書ラクレ)、『実学教育改革論』(日本経済新聞出版社)、『日本人と経済』(東洋経済新報社)など多数。

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