「1年が3年」にも感じるほど濃密

MINIKURA(ミニクラ)グループ、チームリーダーの柴田可那子さん
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 月森さんも畑さんも、2人の執行役員が共通して口にするのは、寺田倉庫という会社で過ごす時間の濃密さだ。畑さんは昨年7月に転職してきたばかりなのに、「その3倍くらいはいる感覚だ」と言う。

「ここにいると1日が3日、1ヵ月が3ヵ月、1年が3年。それくらい濃密なんです」

 MINIKURAグループ、チームリーダーの柴田可那子さんも同様の証言をした。柴田さんはアパレル大手から転職して4年になる。

「ここは4年もいたら古い方です。私なんか、もう、お局みたいになってます(笑)」

 転職して4年と言えば、会社によってはまだまだ新参者扱いのところもある。それがお局様とはいったい、どういうことなのか?

 畑さんが説明してくれた。

寺田倉庫執行役員・畑敬子さん
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「うちは1年で3割の人員が入れ替わります。平たく言えば離職率3割。離職というとネガティブな印象を受けるかもしれませんが、要するに流動性がそれくらいあるということ。最近は毎月のように2、3名の退職者が出て、新たに2、3名が入ってくるという感じになっています」

 社員数は約100人。これも5年前、事業を売却したり、関連会社化するなどして一気に10分の1にスリム化した。その結果、意思決定のスピードも上がり、事業の新陳代謝も活発に。社員の平均年齢は36歳。しかも、勤続年数10年未満が75%を占めており、3年未満だと60%という。まるで会社を設立したばかりの、ベンチャー企業のような数字である。

 これだけ人の出入りが激しいと、さぞや居心地の悪い会社なのかとも思ってしまうが、案外、そうではないらしい。むしろ、寺田倉庫で様々なプロジェクトを経験した結果、自分のやりたいことが明確になり、そのスキルを持って独立したり、他社へ転職したりする人も多いのだという。

「5年で辞めてくれが社長の口癖なんです」と、畑さん。

――えっ、5年で辞めろ!?

「そこだけ切り取るとかなり乱暴に聞こえますが、中野が言いたいことはつまり、こういうことなんです。人間がフルマラソンを走れるのは42.195キロという長さが決まっていて、ゴールがあるからだろう、と。だから、5年という期間を区切って、その中でやりたいこと・やるべきことのゴールを決めなさい、というわけなんです」

 5年で結果を出そうと思えば、その分、取り組むスピードは速くなくてはいけないし、経験の密度も濃くなる。「社歴のあるベンチャー企業」を標榜する理由が、少しずつだがわかってきた。