2010年にマンション市況は転換期を迎えた。首都圏各地の販売センターを訪れる人が増え、抽選に当たらないと購入できない物件も出てきた。これらの優良マンションが牽引することで不動産市場全体が活気づいている。今こそ「買い時」と言えそうだ。

マインドに大きな変化
購入予備軍が動き出す

 2010年はマンション市況が大きく変化した年だった。

 09年までは売れ行き不振のマンションが目立ち、値下げが頻発。大きく値引きするマンションだけが売れていた。ところが、10年は様子が変わった。

 値引きマンションは売れ行きが鈍り、値引きしない“新品マンション(新たに分譲を開始するマンション)”に人気が集中。販売センターが活況を呈してきた。さらに、抽選販売となる物件も目立ち始めた。なかには「5000万円台3LDK」を中心とした、高額物件も多いから驚く。

 売れているのは、マンションに限らない。新聞、テレビではあまり報道されないが、実は、首都圏各地で戸建ての販売が好調なのだ。神奈川県藤沢市の大規模建売住宅地では、全140戸が倍率1.5~2倍となり瞬く間に販売終了。23区内では、平均4.5倍、最高12倍で完売した建売住宅地もある。

 いずれも価格が安いわけではない。5000万円台半ばから23区内であれば7000万円台。それが売れていて、購入者は、5000万円台3LDKマンションと同じ「普通のサラリーマン」だという。

 5000万円台3LDKのマンションを買って、管理費・修繕積立金・駐車場使用料を払うことを考えれば、7000万円台の戸建てが買えると考える層だ。

 低金利で、贈与の特例枠が拡大している今、5000万円台のマンションも7000万円台の“庭付き一戸建て”も庶民の予算内ということか。

 一見、高額の住宅が、値引きをせずに売れている。この不況の時代になぜだろうか?

 マンション販売の大手、長谷工アーベストが行ったアンケート調査の結果(右図)によると、買い時感DI(「買い時と思う」の数値から「買い時とは思わない」の数値を引いたもの)は、09年半ばから確実に回復。モデルルームの来訪者が増えていることを裏付けた。

 マーケティング調査会社のアトラクターズ・ラボがマンション購入者のサイト「住まいサーフィン」(http://www.sumai-surfin.com/)の会員に対して行ったアンケート調査(10年6月実施)でも買い意欲が増していることがうかがえる。