価格差を正当化する
大排気量エンジンの魅力

――価格差も大きいですけれどね。たとえばC43 4MATICが880万円であるのに対してC63は1219万円です。

松本 大きな価格差があるのは、エンジンの差だと思うといいでしょうね。気筒数が増えると、変速機もサスペンションも出力に応じてチューニングが必要。価格差はマーケティングではないのです。

――幸運にもC63に乗れるひとはそこを大いに誇りに思っていいと。SクラスやGクラスやSLクラスに設定されている6リッターV型12気筒「65」系はさらにすごいですね。

松本 V12のなめらかさは最高級でしょう。興味ぶかいのは、メルセデスAMGではたんにパワフルなモデルを目指しているわけでなく、環境のためのCO2排出量抑制も考慮しています。常用回転領域でどれだけなめらかに加速して余裕ある走りが出来るかが大事です。そのためにそもそも大排気量なのにターボチャージャーを使っています。これもメルセデスAMGの特徴ですね。電子制御技術が発達したために燃料噴射制御が緻密にできて、ターボの圧力を細かくコントロールしていますね。

――メルセデスAMGはAMG GTというスポーツカーも作りました。あれもすごいモデルですね。スポーツカーは、技術力の向上につながるし、レースに出れば性能のフィードバックがあるし、勝てばブランドイメージがあがるから、やりがいのある分野ですが。

松本 すごいスポーツカーだと思います。エンジン搭載位置をうんと低くして重心高を下げつつ、タイヤの接地荷重のためにサスペンションのアーム長は出来るだけ長くとる。セオリーどおりですが、これを実現するのは難しい。でもAMG GTはそれをやってのけています。耐久レースでも高成績です。ポルシェ911がグランツーリズモの方向へと進んでいる感があるのに対して、AMG GTは純粋なスポーツカー。でも雨の日だって怖くないんですよ。

――好きなメルセデスAMGモデルはなんですか。

松本 S63 4MATICクーペです。フルタイム4WDシステムである4MATICは、エンジンとシャシーのパフォーマンスをフルに堪能できますから。

――なるほど、そうなのですね。

松本 クーペは2945ミリと比較的ショートホイールベースなので4MATICとよく合います。

――僕はロサンジェルスの山道で走り回ったSL65のすばらしさが忘れられません。忘れられない体験をメルセデスAMGは与えてくれますね。フルオープンなのですがとても高いボディ剛性と、みごとなフィールのエンジン。かといってクルマに振り回されない節度感がちゃんとあります。エレガンスもあって、これはひとつの極だとつくづく感じました。