一方、本国では相当額の損失を計上しているC社の日本法人では、人材強化に動いているケースがあるようだ。人の入れ替えが中心だろうが、新規の人材採用を凍結する会社が多いなかで珍しい。日本には有望なビジネスがある、との見立てだろうか。もっとも、投資銀行業界では、倒産する直前まで人を採るのは珍しくない。

 業績の傷みが少ないといわれているD社の日本法人では、自己資金での事業会社への投資に積極的な構えを見せる一方、日本国債の扱いなど通常の証券業務を強化しているという。

 前者は事業の底値買いが狙いで、後者ではライバルの撤退や後退につけ込んで手堅い分野のシェアを確保することが目的だろう。ライバルのピンチこそがチャンスだという業界だ。ただし、勝ち組に入っていても、一つの失敗ですっかり景色が変わるのが当業界の特色でもある。

 投資銀行の社員の報酬が高騰したのは、ひとえに成功報酬型の報酬システムで大きな損得のリスクを取り込んだことの結果だ。

 今日、社員の側から株主の側に利害の重心を移しつつ、やはり成功報酬的に巨額の報酬を手にするようになった米国企業のCEOたちと似た仕組みで、報酬額を大きくしてきた。ここ2~3年の報酬額の高騰は著しい。CEOたちの報酬同様、ややバブルのにおいがする。

 また、会社そのものが、プレーヤーたる個人が成功報酬とリスクを利用する「仕掛け」にすぎない点はヘッジファンドに似ている。仕掛けの本質がばれてきたし、今後他業態からの競争も激しくなるだろう。投資銀行のビジネスモデルが長期的に成長・存続可能かというと、盤石とは言いがたい。

 投資銀行は魅力的な就職先には違いないが、その魅力は現在ピークを少し過ぎたところだろう。