中国政治が西側諸国に比べ
優れているとする根拠

 さまざまな問題が噴出した大統領選は、むしろ中国などの専制国家に恰好の攻撃材料を提供したことは間違いない。おそらく中国は、自国の政治の優位性をますます強く認識するだろう。

 では、中国はどこにその政治の優位性を見出しているのだろうか。西側諸国に比べ、どんな点が優れていると自負しているのだろうか。

 中国の有名な歴史家で思想家でもある銭穆氏は、1990年に没するまで80以上の著作を残しているが、その著書「中国歴代政治得失」(三聯書店)で、中国における歴代の政治の特徴を次のように述べている。

「秦代から清朝までの約2000年間、中国の政治が専制政治だったとはいい切れない。当時から中国は集権国家であり、漢の時代から官吏の選出は世襲ではなく、宋の時代からは封建貴族がなくなり、明の時代は貧困家庭の出身が宰相になった。西側に言論の自由があるように、中国では明代から人々が自由に発言することができた。」

 同氏は、中国社会こそ早くから平等社会を実現していたと主張し、また、政治を動かすのは賢人であり、賢人として選ばれる科挙というシステムは極めて平等に門戸を開いていると断じる。

 その一方で、西側諸国の政治の在り方を次のように批判する。

「西側の政治思想は主権という概念の上にあり、その主権は民衆にある。では、中国政治の主権はどこにあるかといえば、そのような思想自体が中国にはほとんどないといえる。それは、中国の政治とは「職責」であるためだ。また、西側こそ人治の傾向が強く、多党政治こそその現れである。法制は多数の意見で決定し、また変更されることもある。」

 銭氏は「中国の政治を西側の政治と比較する意味はない」と主張する。中国の政治は早い段階から専制政治ではなく、西側と比べることのできない高度な政治体制が構築されている、というわけだ。