「相手に敬意を払う」ことが、究極の幸せを決める

ムーギー 今、仲間って言葉が出てきましたけど、大きいことをしている人って、人に何かをしてもらおうと思う前に、すでに人に支えられているんですよね。武藤さんもそうだと思うんですが、その秘訣って何ですか?

武藤 やはり相手に対して敬意を払うことだと思います。自慢ではないんですが、僕は在宅医療を始めて、今まで診た患者さんが何千人といるんですが、患者さんと揉めたことは一度もないんですよ。

 それは、聞かれたことに真摯に答えるとか、患者さんが不安そうだったら声をかけるとか、人として普通のことをやり続けているからじゃないかと。組織マネジメントじゃないですけど、誰かと一緒に仕事をしていくうえでもそれは気を付けるようにしていることです。

 ちょっと話は変わりますが、こういった人間関係の作り方って、組織マネジメントだけでなく究極の健康法でもあるんですよ。

ムーギー と言いますと!?

武藤 僕はこれまで何百人もの方の看取りをしてきて、最後まで自分で意思決定できるということは本人の幸せにとってすごく大事なことだな、と感じているんです。たとえばそれは、自分が食べたい時間に食べられるとか、寝たいときに寝られるとか、最後まで家で過ごせるというのもその一つですけど。

 そしてその幸せな環境下にいることこそが、今の体と心の健康にもつながってくるんじゃないかと思うんです。じゃあその環境はどうやったら実現できるかというと、もちろん自分の努力も大事ですけど、やはり応援してくれる人たちなくしてはなかなか実現できない。家族とか、友人とか。そうなるとさっき言ったように、人に対して敬意を払うといった、信頼の貯金が生きてくると思うんです。

ムーギー なるほど。ソーシャルな環境を整えてオーナーシップを持ち続けることが健康寿命も押し上げる、と。仕事も人生の最後もオーナーシップなくして幸せは得られないのかもしれませんね。武藤さん、いろいろと興味深い話をありがとうございました。

 医療関係者の方で、武藤さんが運営される祐ホームクリニックの「希望ある社会を創造する」というビジョンに共感し参画されたい方は、ぜひ武藤さんの講演動画などいろいろご覧いただければと思います。21世紀の野口英世、21世紀のグローバル・エリートも、応援しています!(了)