約200人の「リーダーシップ溢れるエリート学生」への、「親に最も感謝している教育方針」に関するアンケート調査と様々な業界で活躍するリーダー達への広範なインタビュー調査をもとに、真の教育のあり方を論じ、20万部のベストセラーとなっている『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』
本連載ではその著者の一人ムーギー・キムさんの対談編をお送りしているが、今回は、医師として活躍される武藤真祐さんとの対談の第4回、最終回。武藤さんは、どのようにお子さんを育てているのか?その考え方をじっくりとうかがいます。(構成:山本奈緒子)

親が勉強している姿を見せる~ただし、自分の育てられ方と今の子どもの育て方を混同しない

ムーギー 前回は武藤さんのご両親の育て方について伺ってきましがた、今ご自身が父親になって、お子さんの育て方で大事にされていることは何ですか?

武藤真祐(むとう・しんすけ)  医療法人社団鉄祐会 理事長/Tetsuyu Healthcare Holdings Pte Ltd. Co-founder) 1996年東京大学医学部卒業。2002年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。2009年早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了(MBA)。 2014年INSEAD Executive MBA。
東大病院、三井記念病院にて循環器内科、救急医療に従事後、宮内庁で侍医を務める。その後マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2010 年、在宅医療を提供する「祐ホームクリニック」を設立した(2011年に法人化し、医療法人社団鉄祐会となる)。震災後の石巻において、在宅診療所祐ホームクリニック石巻、および石巻医療圏 健康・生活復興協議会を立ち上げ、被災後の医療支援、生活支援に取り組む。在宅医療介護の情報連携においては、総務省等省庁事業としてICTプロジェクトを指揮した。2015年には、シンガポールで「Tetsuyu Home Care」を設立し、同年8月よりサービス開始している。 東京医科歯科大学医学部臨床教授、厚生労働省情報政策参与。

武藤本はふんだんに与えてきましたね。それで良かったなと思ったのは……、子どもは小4と小2なのでやはりゲームは欲しがるんですけど、DSを買ってあげたところ、結局あまりやらないんですよ。で、やっぱり本を読んでいるんです。

ムーギー それは小さいときから本に慣れ親しんでいたからですかね?

武藤 だといいなと思います。もう一つ僕が心がけているのは、僕の父親と同じなんですけど、自分が勉強している姿を見せることです。僕は家でもほとんどずっと仕事か勉強をしているんですけど、すると子どもが「なんで大人なのに勉強するの?」と聞いてくるんですね。

 だから説明するんです。人生っていうのはずっと勉強で、何かを得たからやめてもいいものじゃないんだと。僕の父親は大学の文学部の先生で、家でもひたすら本を読んでいたんですよ。やはりその姿を見て育ったというのは大きいんでしょうね。

ムーギー 反対に、ご両親の育て方で、「これは自分の子どもにはやめておこうかな」というものはありますか?

武藤 特にはないですね。父は「結果」を求めてきて、母は「努力」を求めてくるという方針だったのはちょっと大変でしたが、おかげで今も頑張ることが苦痛じゃないですからね。ただ一方で、自分の育てられ方と今の子の育てられ方は違わなければいけない、と思っていて。

ムーギー というのは?

武藤 今の子は、現時点でもそうだけど今後はよりグローバルな環境下に置かれるじゃないですか。それに伴い、価値観ももっと多様化していく。これは、僕が子どもの頃にはなかったものです。基本的にはしっかり勉強していい学校にいくのがいい――、世の中の価値観はみんなそうだった。

 だけど今は全然状況が違うじゃないですか。いきなり海外の大学に行く人もいれば、ソーシャルネットワークで広い世界とコミュニケーションも取っている。だから子どもの教育をするとき、価値観の押し付けみたいなことはやめようと思っているんです。