約200人の「リーダーシップ溢れるエリート学生」への、「親に最も感謝している教育方針」に関するアンケート調査と様々な業界で活躍するリーダー達への広範なインタビュー調査をもとに、真の教育のあり方を論じ、20万部のベストセラーとなっている『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』。
本連載ではその著者の一人ムーギー・キムさんの対談編をお送りしているが、今回は、医師として活躍される武藤真祐さんとの対談の第4回、最終回。武藤さんは、どのようにお子さんを育てているのか?その考え方をじっくりとうかがいます。(構成:山本奈緒子)
親が勉強している姿を見せる~ただし、自分の育てられ方と今の子どもの育て方を混同しない
ムーギー 前回は武藤さんのご両親の育て方について伺ってきましがた、今ご自身が父親になって、お子さんの育て方で大事にされていることは何ですか?
武藤 本はふんだんに与えてきましたね。それで良かったなと思ったのは……、子どもは小4と小2なのでやはりゲームは欲しがるんですけど、DSを買ってあげたところ、結局あまりやらないんですよ。で、やっぱり本を読んでいるんです。
ムーギー それは小さいときから本に慣れ親しんでいたからですかね?
武藤 だといいなと思います。もう一つ僕が心がけているのは、僕の父親と同じなんですけど、自分が勉強している姿を見せることです。僕は家でもほとんどずっと仕事か勉強をしているんですけど、すると子どもが「なんで大人なのに勉強するの?」と聞いてくるんですね。
だから説明するんです。人生っていうのはずっと勉強で、何かを得たからやめてもいいものじゃないんだと。僕の父親は大学の文学部の先生で、家でもひたすら本を読んでいたんですよ。やはりその姿を見て育ったというのは大きいんでしょうね。
ムーギー 反対に、ご両親の育て方で、「これは自分の子どもにはやめておこうかな」というものはありますか?
武藤 特にはないですね。父は「結果」を求めてきて、母は「努力」を求めてくるという方針だったのはちょっと大変でしたが、おかげで今も頑張ることが苦痛じゃないですからね。ただ一方で、自分の育てられ方と今の子の育てられ方は違わなければいけない、と思っていて。
ムーギー というのは?
武藤 今の子は、現時点でもそうだけど今後はよりグローバルな環境下に置かれるじゃないですか。それに伴い、価値観ももっと多様化していく。これは、僕が子どもの頃にはなかったものです。基本的にはしっかり勉強していい学校にいくのがいい――、世の中の価値観はみんなそうだった。
だけど今は全然状況が違うじゃないですか。いきなり海外の大学に行く人もいれば、ソーシャルネットワークで広い世界とコミュニケーションも取っている。だから子どもの教育をするとき、価値観の押し付けみたいなことはやめようと思っているんです。