「手足が冷たいってそんなに辛いことなの?」という疑問に関しては、ほとんど経験者にしかわからないことなのだが、通常の室温でも身体の一部分にずっと冷えを感じ続けることを想像すれば、その不快さが少しは理解できるだろうか。

 不快感だけでなく、冷え性の人は頭痛、腰痛、肩こりなど自律神経の乱れに起因する、他の症状も抱えていることが多い。血行の悪さは内臓の働きや免疫力、新陳代謝にも悪影響を与える。「手足が冷えて困る」という人は、それだけではない最悪のコンディションにあるのかもしれないのだ。

 冷え性への対策は体操やマッサージ、入浴による血行促進、ソックスの上手な重ね履き、身体を温めるとされる食物を摂るなど数多くあるので、上手に生活に取り入れたい。規則正しい生活、バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動という、いつもの万能薬も効くはずだ。

 日常生活で気をつけていても、もともとの原因が「ストレスやホルモンバランスの乱れなどによる自律神経の異常」にあるのならば、医療の出番ではないか。西洋医学には「冷え性」という病名はないが、現に症状はあるのだから受け皿もある。近年は「冷え性外来」を名乗る病院も増えていて、個人の症状に合わせた治療や生活指導が行われている。

 実は、ここまで述べた「冷え性は女性に多く、ほとんどの男性には他人事」という前提は、一部の男性にとっては他人事ではない。調査により数字に幅があるが、最も低い数字を採用しても10%程度の男性に「冷え」の自覚があるようだ。冷えの自覚があること=冷え性ではないが、その予備軍は少なくないということである。

 男性の冷え性は更年期障害の症状の1つとしても起こりうる。いまは冷え性とまったく無縁の男性でも、もしかしたら10年後にはストレスと更年期障害の合わせ技で当事者になっているのかもしれないのだ。

 (工藤 渉)

参考URL:

テルモ体温研究所 冷え性はなぜ起こるか
http://www.terumo-taion.jp/health/hiesyo/01.html

味の素 冷えは万病のもと
http://report.ajinomoto-kenko.com/hie/nayami.html