日米のメディア、有識者が予想を外し続けた米国の大統領選。米共和党保守派に独自のパイプを持ち、予備選段階から一貫してトランプ勝利を予測してきた渡瀬裕哉・早稲田大学招聘研究員に、勝利予測の根拠や日本人識者の米国人脈リスクについて聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介)
――日米のメディア、有識者の大半が米大統領選の結果を予測できませんでした。
多くの日本人は、ステレオタイプのトランプ像を撒き散らすメディア、有識者らの言説を信じこまされて、米国の大統領選の行方を大きく見誤ってしまいました。
世論調査をしっかりと読み解けば、リベラルの有識者やメディアがトランプ憎しで垂れ流すイメージとは異なるトランプ支持者の実像が浮かび上がってきます。
日米のメディアは米大統領選で、共和党予備選の段階からトランプ氏を泡沫扱いして、最後まで罵詈雑言に近い論評を発表し続けていました。
ただ実際のところ、トランプ氏は予備選で、早々に候補者の中で支持率1位を獲得していたし、一瞬だけ医師のベン・カーソンに肉薄されたけれど、その後は支持率トップを維持し続けていたので、数字を見れば、トランプ氏の予備選勝利は見えていました。
ところが、日米のエリート層のメディア、有識者は自らが属するリベラルなコミュニティにおいて、「トランプが勝つ」とは言えなかった。言ってしまえば、場がしらけるので、自分たちが見たい願望を見ていただけです。
米国のリアルを理解していなかった
日本のメディア、有識者
――多くのメディアは、世論調査の結果からヒラリー優勢を伝えていました。
その根拠も薄弱でした。本選挙直前の10月30日発表に発表された世論調査では、女性の半数はヒラリー支持でしたが、白人女性に限定するとトランプ支持の割合の方が高く、メディアが糾弾してきた女性蔑視発言があっても、女性からの一定の支持を維持していたことが分かります。