政府が、高校・大学卒業後3年間は「新卒」枠で採用することを企業に求める要請書を日本経団連などの業界団体に送ったのは昨年10月のこと。その後、トヨタ自動車や三菱重工業、高島屋などの大手企業が2012年春の採用から「卒業後3年間を新卒扱い」とすることを発表している。
2011年卒の内定率は2010年12月の時点で68.8%と、前年から約5ポイント減で過去最低(厚生労働省・文部科学省調べ)。政府が「将来にわたる日本経済の競争力・生産性の向上を図るため」と説明するこの支援に関して、就活生はどう考えているのか。
毎日コミュニケーションズ調べのアンケート「2011年卒学生の現状」には、就活生の声が集められている。
アンケートは2011年卒業予定の全国の大学4年生及び大学2年生2821人(文系男子927人、理系男子500人、文系女子1158人、理系女子236人)を対象に行ったもの。調査期間は12月2日~12月15日まで、調査方法はWEBダイレクトメールによる。
「本当に平等にチャンスがもらえるのか心配」54.1%
懐疑的な声が大半に
まず、「政府が卒業後3年間は新卒扱いを企業に要請した」というニュースを聞いたところ、全体の91.9%が「知っている」と回答。高い関心が表れた結果となった。
しかし、「知っている」と答えた人限定で、このニュースに関する感想を聞いたところ(複数回答)、最も多かったのは「本当に平等にチャンスがもらえるのか心配」(54.1%)。次に「あくまで新卒としてあつかってもらえるだけであり、就職できるかどうかは本人次第」(43.9%)、「卒業してしまうと不利になるのではないかと不安になる」(25.5%)と懐疑的な声が続いた。
「チャンスは多い方がいいし、賛成だ」と答えた学生は23.8%に止まり、「来年もう一度志望企業にトライできるのでうれしい」(7.7%)、「中途採用と一緒にされないので有利だと思う」(5.6%)と、今回の支援を楽観的に捉えた声は少ない。企業の姿勢に甘えることなく自分の就職活動を貫くだけ、という意志の表れと見るか、あまりにネガティブ過ぎると見るか……。