明確な理念を示せない
韓国政治の問題点

 今後の韓国経済を考えると、政治の役割が決定的に重要だ。中長期的な視点で、政治が構造改革などを進めないと、財閥と輸出依存の経済構造は解消されないだろう。政治が本気で産業力を引き上げない限り、韓国経済の構造的な問題を解決することは難しい。

 ところが、これまでの韓国政治は、明確な理念やそれに基づいた一貫した政治姿勢を示せていない。依然として、財閥系有力企業と有力政治家との癒着は解消されていない。それでは、財閥中心の経済構造を本格的に変革することはできない。

 韓国経済の大黒柱の一つであるサムスンは、主力のスマ-トフォン分野でつまずき、今後の収益状況や事業展開には不透明な部分が増えている。有力自動車企業でも、従業員との労使問題が燻ぶっている。

 これまで貿易に依存して高成長を享受してきた韓国経済は、今、明らかにターニングポイントを迎えている。そうした状況を乗り越えるためには、企業自身が変革に立ち向かうことに加えて、政治が、それを可能にする環境作りを行わなければならない。

 重要な役割を担うべき韓国の政治の問題点が露呈している。韓国の政治を外側から見ると、何と言っても一貫性を欠いているとしか見えない。アジア通貨危機の時には、わが国とのスワップ協定を締結して事態の収集を図ったが、その後、わが国に対しては、幾度となく慰安婦問題を取り上げて反日感情を加速させる結果を招いた。

 その一方、朴大統領は中国にすり寄る外交政策を進めた。そこには、中国の消費市場へのアクセスを確保し、財閥企業の収益を確保する目論見があった。中国は北朝鮮の暴発を抑えるためにも、相応に韓国とは良好な関係を持っておきたいと考えたのだろう。

 しかし、中国は韓国のTHAAD(高高度ミサイル防衛)システム配備を批判するなど、自国優先の政治姿勢は明確だ。そうした外交関係の中で中国が韓国を長期的に支えていくとは考えづらい。

 そうした状況が続く限り、韓国経済が本当の意味で変革できるとは考えにくい。国民はこれからも、一部の権力者と財閥に富が偏在する社会に不満を抱き続けるだろう。何よりも隣国に北朝鮮という危険要素を抱える中、社会心理の悪化は政治機能の低下につながり、経済・外交・安全保障の運営に制約がつくことに注意が必要だ。

 米国の次期政権の安全保障の方針が不透明なだけに、韓国社会が政治スキャンダルに揺れる虚を突いて北朝鮮が核実験などを強行すれば、極東の安全保障は揺らぐだろう。韓国の政治の現状を見る限り、そうしたリスクへの準備は十分ではないように見える。今後も韓国社会の不安定感は高まり、それが経済的にも厳しい状況につながる可能性が高いと見る。