本人に向かって直接渡すのがミソ

 最初にこの話を聞いた時は、なんておそろしい制度なんだと正直、震え上がった。同じ日に複数人からドクロばかりをもらったら立ち直れそうにない、と思ったからだ。しかし、話を聞くうちに、ドクロも含め、コインには社内のコミュニケーションを活性化する効果があることもわかってきた。

――例えば、どんな時にコインを渡すのでしょうか?

「使い方は自由です。賞讃できる仕事をしていたら、『すごいね』の意味でコインを渡してもいい。その人のおかげですごく助かったというのであれば、『ありがとう』気持ちでその価値に合うコインを渡します」

――ドクロに関しては、渡す方も勇気がいるんじゃないでしょうか?

社内で目立つ活躍をしている人ほど、ドクロももらいがちになる。その分、ゴールドやシルバー、ブロンズのコインをもらうチャンスも多い Photo by T.U.

「そんなこともないですよ」と、畑さんはあっさり言った。

 同席していたミニクラのチームリーダー、柴田可那子さんもうなずき、笑ってこう補足した。

「私なんて、もう20枚もドクロをもらっていますから」

――ええーっ、20枚も!?

 畑さんいわく、目立たない人はドクロももらわない代わりに、ゴールドやシルバー、ブロンズなどのコインをもらうことも少ない。つまり、いろいろとチャレンジをして、失敗もしている人ほど、種類も数もたくさんのコインをもらう可能性が高い、というわけだ。

 コインは「昇進」「昇格」には関係せず、「出来事評価」的な意味合いはあるそうだ。寺田倉庫では、1つのプロジェクトに対してアサインされる社員は平均2~3人と少ないため、一人ひとりに与えられる裁量は大きい。スピード感をもってプロジェクトを遂行するため、あるいは社員のモチベーションを瞬間的にアップさせるツールとしても、コインが一役買っているという。

 いいコインにしろ、悪いコインにしろ、もらった本人には身に覚えがないことも多々あるそうだ。柴田さんが証言する。

ミニクラ チームリーダーの柴田加那子さん。柴田さんはすでにドクロを20枚もらっているという Photo by T.U.

「どうしてこんな普通のことでコインをもらえたんだろうと思う場合もあるんです。ドクロをもらったら、最初は『えっ』と思うんですけれども、本人から渡されますから、その場で理由を尋ねることもできる。聞くと、『ああそうか、そんな風に思われていたんだな』と反省することもあります。コインをもらうと、それをきっかけにして振り返りができますし、コミュニケーションが生まれる。自分が誰かに渡す際にも必ずその理由を言いますし、コインを渡すようになってから、なるべく相手を多角的に見てあげようという気持ちになりました」

「そうそう、そこはすごくいい点よね」と、畑さんもうなずく。「とっても人間らしいコミュニケーションにつながることもあるんですよ」と。コインをやりとりすることで、お互いの人間理解が進むのであれば、それはいいことかもしれない。