マイナス一面を示す画面

 往年のファミコンゲームが遊べる「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(ファミコンミニ)が発売されて2週間あまりが経った。入手困難な状況はいまだ続いているようで、定価6458円(税込み)に対し、Amazonなどでは1万2000円前後(11月24日現在)で取引されている。

「ファミコンミニ」は、見た目は往年の「初代ファミコン」にそっくりだが、手のひらサイズにコンパクトになっている。そのため昔のソフトは使えないが、「マリオブラザーズ」や「ファイナルファンタジー3」など30作品が内蔵され遊ぶことができる。周辺機器も“小型化”し、電源はUSB、テレビとの接続はHDMIとなった。AC100ボルトの大きなアダプターをコンセントに挿し、ブラウン管テレビの2チャンネルに繋いでいた時代を思い出すと、30余年の進化にしみじみさせられる。

 本体の進化はさることながら、ゲームのほうはどうか。見たところ、こちらもくっきりはっきり。ハイビジョン対応のHDMI接続のためか、見た目も進化してしまっている。昔のファミコンはこんな美麗な映りではなかったはずだ……もっともそんなユーザーの声は想定内のようで、わざと画面をにじませる「アナログテレビモード」も搭載している。

 ここまで“進化”が止まらないとなると、少し不安になる点もある。ファミコンゲームにはプログラムやシステムの裏を突いた数々の「バグ技」があるが、こうした「バグ技」まで修正という名の“進化”を遂げてしまっているのではないか、と。

 たとえば、有名なバグ技に、「スーパーマリオブラザーズ」の通称「マイナス1面」がある。このゲームは1面から8面までのステージがあるが、これ以外の「裏ステージ」に行ける技だ。やり方はステージ1-2右端のワープ土管に行く際に、壁ブロックの中をすり抜けて行くというもの。この壁すり抜け自体がバグのようなものであるため、再現するのは少し難しい。「ファミコンミニ」でもできるのか、検証してみることにした。

 スイッチを入れ、「ファミコンミニ」を立ち上げる。すると、ゲームのパッケージ画面が横一列に並んでいる画面が表示される。この中から「スーパーマリオブラザーズ」を選ぶと、すぐにゲームタイトル画面が表示された。バグ技の“現場”である1-2に行くには最初のステージだけクリアすればいいため、3分もかからなかった……が、ここからが闘いの始まりだった。

 一番の鬼門である「壁すり抜け」をするには、マリオの上半身を、対象のブロックの左斜め下にめり込ませる必要がある。だが、これがなかなかできない。時折上半身だけブロックをすり抜ける挙動が見られても、ブロックの中までめり込まずそのまま落下してしまうのだ。ステージには時間制限があるため、試行錯誤しているうちに時間切れとなってしまう。また、めり込む対象のブロックを叩いて壊してしまったらそこでやり直しとなる。